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2020.12.22

パンデミック後の製造業 データxアナリティクスで利益を生む、3つの方法

ウィズコロナ時代の製造業に求められることとは?(Getty Images)

新型コロナウイルスの世界的流行により、製造業には新たな形態の構築が求められています。鍵となるのはデータとアナリティクスの活用かもしれません。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・新型コロナウイルス感染拡大により、製造業界におけるコスト削減とサプライチェーンの透明性の向上は、より差し迫った課題となっています。
・持続可能な回復の鍵は、製造業におけるデータアナリティクスのメリットを最大限に引き出すことです。
・企業は、生産性の向上、カスタマーエクスペリエンスの向上、社会的および環境的影響という3つの主要な目標のため、データ面で連携していく必要があります。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、医療機器、医薬品、その他の必需品の供給を中心に、製造業の社会的・経済的役割の重要性に対する認識が高まりました。しかし同時に、このパンデミックは、製造業に未曾有の経済的打撃をもたらし、コスト削減と透明性かつ柔軟性あるサプライチェーンの構築が急務となっています。

価値を最大限に引き出し、持続可能な成長を達成するためには、これまで以上に製造業者が力を合わせて、データとアナリティクスを業務への適用していく必要性が高まっています。

データとアナリティクスの面における協力関係が、製造業に利益をもたらす3つの方法を紹介します。

生産性の向上


世界の製造業のリーダー企業は、既に工場およびサプライチェーン全体で、アナリティクスを活用することにより、資産の生産性向上(予知保全による稼働時間の増加など)、労働効率の向上(計画活動の自動化など)、純運転資本の最適化(在庫レベルの削減など)を図っています。

企業は、資産の生産性を向上させるための機会を追求しています。

例えば、東芝は、パフォーマンスと信頼性向上のため、世界的な水処理装置メーカーと提携。この提携により、プラントオペレーターから提供されたセンサーデータに基づき、主要な化学薬品の投入とスケジューリングの最適化を図っています。これにより、コスト削減だけではなく、環境フットプリントの低減も実現しました。

もうひとつの例として、スイスのアクセロスは、浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)に関連するリスクを低減し、その寿命を延ばすため、ロイヤルダッチシェル社と提携しています。アクセロス社のアルゴリズムが、設計データと運用データを組み合わせてFPSOのデジタルツインを作成。物理学をベースにしたデジタルツインは、外部イベントが部品やシステムの疲労に与える影響をリアルタイムでシミュレーションし、メンテナンスコストの大幅な削減を可能にします。

さらに、サプライチェーンにおける機会を捉えている企業もあります。オートスフィアは、サプライチェーンの川上から川下まで、すべての資産をグローバルに可視化するために立ち上げられた、自動車OEMおよびサプライヤーの大規模コミュニティです。
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文=Felipe Bezamat, Memia Fendri, Stephan Bloempott

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