ヒロシが20年続ける習慣。「好きを仕事に」は一冊のノートから始まった

芸人・YouTuber ヒロシ

好きを仕事に──。まさに多くの人が憧れる理想的なワークスタイルを実現してきたのが、芸人でYouTuberのヒロシだ。

「ヒロシです」からはじまる哀愁ある自虐芸で一世を風靡し、一時は最高月収が4000万円を超えるほどの人気者に。2015年には、大好きなアウトドアやソロキャンプをテーマにしたYouTubeチャンネル「ヒロシちゃんねる」を立ち上げ、今年9月にはチャンネル登録者数100万人を突破した。

さらに、この12月には、少年時代を回想した最新エッセイ『沈黙の轍 ずんだれ少年と恋心』(大和書房)を刊行。独特な視点と心に染みる語り口がクセになる、意外な文才を発揮している。

「一発屋」などという世間のイメージとはうらはらに、着々と、飄々と、自分のやりたいことを実現させてきたヒロシ。「やりたいことしかやってない」という彼は、なぜ現在の成功を掴めたのだろうか。

その秘密はずっと続けてきた習慣にある。ひとつは「種まき」、そしてもうひとつが、今回初めてその存在を明かしてくれた「やりたいことノート」だ。やりたいことだけやって成功する方法について、詳しく語ってくれた。


やりたいことをやってるだけ。「戦略」なんて何もない


ピン芸人でブレイクしてから一度、テレビの世界を離れました。トーク番組のひな壇も先輩との付き合いも苦手で。精神的に追い込まれすぎてマンションから飛び降りようとしたこともあった。これ以上、テレビに出るのは無理だと思いました。2009年頃です。

それからは、複数の「種」を同時にまいてきました。「種をまく」といっても、ただやりたいことをやるだけ。頭で考えるだけじゃなく、「やりたい」「面白そう」と思ったら、その瞬間に小さくてもいいから「動く」ことをとにかく続けました。

カフェ経営もやったし、バンドもやった。その中で、自分の予想を超えるほど当たったのがソロキャンプYouTubeだったんです。

キャンプは小さい頃から好きでした。YouTubeを始めたのは、自分のための記録。たとえばエッフェル塔に行ったら写真を撮りたくなるように、キャンプに行っていたら自然と焚き火の動画を撮りたくなった。そして「YouTubeというものがある」と知って、1人のキャンプを記録するために投稿をはじめて、続けていたら見てくれる人が増えたんです。

とはいえ、やりたいことをやっても、成功もあれば、失敗もあります。じゃあ成功するための僕なりの「戦略」があるのか? 正直、何もありません。
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構成=田中一成 撮影=小田駿一 リタッチ=上住真司 編集=松崎美和子

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