ve-nu実行委員会で開発を担当した丸山研司さんは、バーチャル空間を構築する上でのコンセプトを次のように語る。
「店舗を単純にバーチャル化すること自体は困難なことではありませんが、フロアの壁に描かれたグラフィティーやフロアの窓から見える景色を擬似的に再現するなど、お店のことを知っている人だからこそ愛着が湧くディティールに重点を置いて空間を再構築しています」
「第二のヴェニュー」を目指す
ve-nuのようなサービスが普及することで、オンラインイベントの位置付けをリアルの代替としてではなく、「第二のヴェニュー」と捉えていく機運も高まるかもしれない。オンラインイベントの着実なマネタイズに繋がる可能性は、事業者にとって希望になり得る。
「本プロジェクトが目指しているのは、比較的安価な制作費で、オペレーションに関しても特別な専門知識を持たずにバーチャル上でイベントが行える仕組みを作ることです。今回はあくまでプロトタイプ的なものなのでまだまだ課題はありますが、バーチャル空間で一回イベントをやるだけではなく、クラブ自体に第二のヴェニューとして運用してもらえることが理想です。
お客さんも気軽に楽しめてクラブ側もマネタイズできる最適な仕組みを模索しながら、ニューノーマル時代のエンターテインメント形を提示していければと思っています」(丸山)
ナイトクラブが提供する出会いは音楽だけではなく、異なる価値観や背景を持った人々が集まり、垣根なくコミュニケーションが生まれることがその醍醐味であり場としての価値だ。配信者から視聴者へという一方的なコミュニケーションに陥りがちなオンラインプラットフォームにおいては、テクノロジーを有機的に活用するための挑戦が今後も続いていきそうだ。