ビジネス

2020.12.20

現代の奴隷制度への加担、企業や消費者が問われるモラル

China Photos /by Getty Images


名指しされたブランドの大多数は、否定するにせよ、自社の適正な手順を説明するにせよ、この告発に対応する姿勢を見せていない。

それどころか、ニューヨーク・タイムズは次のように伝えている。「中国の新疆ウイグル自治区における強制労働によって製造された製品の輸入を禁じる法案に対して、ナイキやコカ・コーラなどの大手企業や業界団体が、法案の効力を弱めるよう議会に働きかけていると、米国議会関係者などは話している」

この「ウイグル強制労働防止法案」は、2020年9月に下院で可決された。今後は上院を通過し、さらに大統領の承認を得る必要がある。成立すれば、この法により、中国の新疆ウイグル自治区に関してさまざまな制限が設けられることになる。

たとえば、「新疆で製造または生産された物品は、税関・国境取締局が(1)当該物品が囚人労働、強制労働、刑事制裁にもとづく契約労働により製造されたものではないと判断し、かつ(2)その判断を議会および国民に報告した場合を除いて、米国に輸入することは認められない」と定められている。

ニューヨーク・タイムズの記事によれば、この法案は「サプライチェーンが中国極西部の新疆まで及ぶアップルなどの多国籍企業や、米商工会議所などの業界団体の標的になっている」という。それが事実なら、きわめて憂慮すべきニュースだ。というのも、各社が自社の慣行を何も変えようとしないばかりか、現状を変えようとする他者を妨害しようとしていることを意味するからだ。

そして、次に問われるべきことがある。そうした企業がサプライチェーンで強制労働を利用していると知った私たちが、その製品を買い続けて市場を活気づかせるとすれば、現代の奴隷制に加担していることになるのではないだろうか?

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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