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「アクションを終えるまで閉じるのをやめる」を徹底励行


さて、そうして初日にメーリングリスト登録を済ませた新入りのアマゾニアンが翌朝、意気揚々と出社したとしよう。彼/彼女は、メールソフトを開けて愕然とすることがほとんどだ。そこには数100件の未読メールが、前日に登録したリストを介して受信トレイに届いているからだ。未読メールはそれ以降も刻々と増え続け、1日の終わりに1000件を超えていた、という体験をする新人社員も多い。

ここで重要なのは、いくら社内での起死回生を決める命綱的なリストであっても、そこでのディスカッションやシェアされる情報のすべてが等しく高価値なわけではないということだ。こうした未読メールの処理に、1通につき1〜5分もかけていては、いくら時間があっても足りない。アマゾン社員はそんな時間のかけ方を上手に「やめて」いるのである。

必要なメールと要らないメールを区別する際に思い出してほしいのが、冒頭に言及した「5S」、なかでも「整理・整頓」の考え方だ。そのための便利な機能はもちろん、メールソフトのフィルター機能である。


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このフィルター、仕分け機能は、すでに多くの読者が活用されているはずだ。だがここで大切なのは、アマゾンの社員は、分類した「今すぐ見るべきメール」を、アクションを終えるまで「閉じない」を徹底して励行していたことだ。

「今すぐ見るべきメール」に対するアクションの途中で、どうしても緊急の他案件が入って来ても、そのメールを閉じるのをやめ続ける。デスクトップに開きっぱなしにすることで、「未処理を見える化」するのである。

もちろん、未実施フォルダに移動した「今すぐのアクションが期待されないメール」については、「アクションするのをやめる」を完璧に実行する。

定期的なメールの棚卸しが必要


さて、記述の通り、整理とは捨てる(やめる)ことだが、そもそも、クリエイティブな時間を削る「整理そのもの」をやめてしまうことも重要だ。

たとえば、自分にとって必要がなくなった情報や、傾聴すべき期間が済んだコミュニケーションを整理することは、それ自体が無駄だ。

そういったメーリングリストから抜けることは、クリエイティブなアクションのための時間を食いかねない整理をやめる上で重要だ。定期的な「メールの棚卸」は大切なのだ。

そして、実は発信者側の「棚卸し」も必要だ。

アマゾンFC時代、私がチームメンバーによくさせていたのが、この「発信メールの棚卸し」、つまり目的精査だった。

メーリングリストのオーナーとなっているメンバーが、そのリストに向けて定期的にしている情報発信の「目的」を聞き、答えられない場合はすぐさまそのメール配信をストップさせるようにしていた。もちろんこういった情報共有がストップしても、クレームや問題は起きない。

文=佐藤将之 編集=石井節子

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