警察による記者の拘束は、驚くべき件数に及んでおり、それらの大半は5月末に発生した黒人男性ジョージ・フロイドの死亡事件に続いて発生した暴動の中で起こっていた。
今回のレポートは、法執行機関による記者の逮捕や報道の自由を脅かす行為を記録する「U.S. Press Freedom Tracker」のデータを使用してまとめられた。今年発生した勤務中のジャーナリストの逮捕や拘留の件数は117件で、まだ調査中の案件が12件とされている。
逮捕者数は、2019年の9件から1200%の増加となった。U.S. Press Freedom Trackerが集計を開始したのは2017年のため、それ以前との比較はできないが、報道の自由財団の担当者は「前例のない数字だ」と述べた。今年の逮捕や拘束のうち71件は、5月25日にジョージ・フロイドが、ミネアポリス警察に拘束されて死亡してから1週間以内に起きていた。
5月29日から6月4日までの期間の逮捕者数は、過去3年間の合計(2019年は9件、2017年は11件、2017年は41件)を上回っていた。地域ごとでは1年間で20人もの逮捕者を記録したミネソタ州ミネアポリスがトップだった。レポートによると、逮捕された人々の36%が暴行を受けたという。
さらに、今年米国で発生した記者の逮捕や暴行、召喚、国境への立ち入り禁止などの報道の自由を侵害する行為は、合計で1000件以上に及んでいたとされた。これは2019年の発生件数152件との比較で550%の増加だった。
「前例のない報道の自由の危機が米国を飲み込んでいる」と、報道の自由財団のトレバー・ティム事務局長はフォーブスに送付した声明で述べた。「ジャーナリストたちは、その仕事を理由に逮捕されるべきではない。警官たちは、かつてない規模で彼らの権利を脅かしている」
同財団によると、逮捕者の数にも関わらず、警察官が刑事告発された事例は一切確認できていないという。
U.S. Press Freedom Trackerによると、取材にあたった記者たちの多くが、報道の現場でゴム弾や化学薬品などを浴びたという。今年最も注目を集めた事例にあげられるのが、5月29日にミネアポリスのデモ現場を取材中だったCNNの取材チームが、生中継中に警察に逮捕された事件だった。