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「セクハラや虐待を受けないことが……身体的な安全だという考え方がありますが……これには私も全面的に同意します。ですがもうひとつ、いまは優位になりつつある別の考え方はとても恐ろしいものです。〝思想的にも安全であることが必要だ”という考え方です。……私はみなさんに思想的に安全になどなってほしくない。強くなってほしい。このふたつはまったく別物です」

重要なのは「不快感を克服する」こと


心理学研究で明らかになったのは、心理的苦痛や不快感を克服する最も確実な方法は、それを避けることではなく、計画的にそうした環境を体験して、不快感を徐々に弱めていくことなのだ。「感情を揺さぶられる状況を避けるのはPTSDの症状であって、治療ではない」とハイトとルキアノフは主張する。

つまり、認知摩擦を体験すればするほど、反論されたり、自分とは違う意見を聞かされたりしても、それを個人攻撃とは受け取らないようになるのだ。

もちろん、ここには重要な但し書きが付く。自分と違う考えの相手や、トラウマを思い出させて感情を揺さぶってくる相手とは本当に関われない人もいる。その場合は、認知行動療法が必要になるだろう。そうした人々の感じる苦痛は本物であり、彼らを助ける手段は存在するのだから。

だがそれは、人それぞれの状況に合わせて専門家が行う仕事になる。

私が大学生の頃、木から落ちて腕を骨折した学生がいた。これに対して大学側は「木登り禁止」を校則に含めたが、そんなことをするより、学生本人と話し合い、他の学生にも気をつけるように呼びかけるべきだったと思う。大学側の対応は、「木は危険であり、われわれはあなた方を信用していない」と表明したに等しい。

このような対応からは心理的安全性が生まれないことを確認するために、心理的安全性と信頼の関係を考えることが必要だ。


【解説】グーグルが突き止めた強いチームの条件、「心理的安全性」とは に続く

翻訳・編集=川崎稔/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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