暗号通貨取引も可能に、金融界の中心はディスラプターにシフト

Photo by S3studio/Getty Images

米国でもっとも急成長している「銀行」は、どこかご存知だろうか? ゴールドマン・サックスでも、モルガン・スタンレーでもない。バンク・オブ・アメリカは論外で、ここ10年ほとんど成長していない。金融界の巨人JPモルガンも、同じく栄冠を逃した。

「ニューマネー」のディスラプターであるペイパルが、従来のどの銀行よりも急速に成長しているのだ。ペイパルは、おなじみの銀行ではない。支店に立ち寄って、ガラスの仕切りの向こうにいる行員と話すことはできない。ペイパルについての記事を読む人のほとんどは、ウォール街のビジネスのほんの一部に噛んでいるだけだと想像することだろう。

だが、リスクヘッジリポートの愛読者なら知っての通り、ニューマネー・ディスラプターは、今や銀行を脅かす存在となった。2020年11月にペイパルを通じて取引を行った人は約3億5000万人に上り、米国のどの金融機関よりも多かったのだ。ペイパルの時価総額は2510億ドル(約26兆1054億円)に達し、JPモルガン(3550億ドル、約36兆9220億円)を除く、どの銀行をも上回っている。

10年前に筆者が、「ペイパルの時価総額はいずれ、ウェルズ・ファーゴやシティバンクを超える」と言っていたら、きっと笑われただろう。だが、これが現実だ。ペイパルは米国のメガバンクの数々を圧倒している。現在、史上初めて、ディスラプターが金融界の覇権を握っているのだ。

送金はかつて、実入りのいいビジネスだった。10年前、米国の銀行は海外送金に10%もの手数料を請求していた。つまり、200ドル送りたければ、20ドルの手数料を用意しなくてはならなかったのだ!

だが、もはやこの市場はペイパルやトランスファーワイズのものだ。これらのプラットフォームを使えば、わずかなコストで瞬時に送金ができる。トランスファーワイズは現在、JPモルガンとバンク・オブ・アメリカを合わせたよりも多くの送金を処理している。

ロビンフッドなどの無料投資アプリは、投資のコストを削減した。投資家はロビンフッドやスクエアが開発したCash Appなどをダウンロードして、あとはスマートフォンの数回のスワイプで、手数料なしに株を売買することができる。その結果、ロビンフッドのアカウント数はいまやメリルリンチを上回った。

ディスラプターたちは、銀行取引と投資を再発明した。いまや、ポートフォリオ管理はスマートフォンアプリで行う時代だ。送金や融資獲得など、かつて銀行が支配していた数々のビジネスについても同じことが言える。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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