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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

平成の30年、精彩を欠いた日本企業は、企業変革しないまま進化を止めてしまったか、欧米流の企業変革モデルに飛びついて失敗したか、どちらかのケースが大半を占めています。新型コロナウイルスによって、これまで以上に企業変革が必要なことは全員の共通理解となりました。

では、どちらを向いて走るべきなのか。いままでを捨てて、欧米流に飛びつくべきなのか、あるいは第三の道を探すべきなのか。多くの企業が岐路に立っていますが、先が見えないまま模索しているのが現状です。

停滞する企業への変革の処方箋として、マッキンゼー・アンド・カンパニーでのコンサルタント経験などをもとに書いた『企業変革の教科書』では、4つの経営モデル(図表1)を紹介しています。



1つ目が「シュリンク・トゥー・グロー」。いったん無駄を削減して態勢を立て直してから成長するというのは常道中の常道で、コロナの時代は特に避けては通れない生き残り作戦です。しかし、副作用がいくつかあります。ひとつはV字回復して元に戻ると安心してしまい、一過性になってしまうことが多い点。もうひとつは、その後の成長が難しくなる点です。

事業を小さくするのは比較的簡単ですが、成長に必要な資産も捨ててしまい、結果的に「シュリンク・トゥー・ナッシング」になることが多い。世界に冠たる日本のIT企業もその道を辿りました。ただし、小松製作所のようにこのモデルを「体質」化して成功した会社はあります。

次に「セルフ・ディスラプション」。自己否定と創造的破壊というのはかっこよく聞こえるかもしれません。しかし、自分のいいところをすべて捨てて、ゼロベースで始めるビジネスにほとんど勝算はありません。成功するには、提唱者のクリスチャン・クリステンセン教授も言うように全く新しい飛び地に行くのではなく、「ずらす」ことです。

自分の資産を新しい市場にずらすのか、いまの市場に向けて新しい資産を活用するか。その点を十分に理解しないまま、創造的破壊に飛びつけば悲惨なことになります。

3つ目は「ポートフォリオ・オブ・イニシアティブ」。これはデジタル産業のように変化が常態化している場合や、次世代成長を加速したい企業に向いています。時間を横軸、リスクを縦軸にとって、ポートフォリオの奥行きを広げる戦略です。自分たちのなじみ深いところばかりやっていては時代から取り残されます。自分の強みを生かしながら、誰かと組んだり実験を繰り返したりして、異質なところ、新しいところにも触手を伸ばせば、自分たちの得意技も進化する。ポートフォリオの新陳代謝を常に強くするのがこのモデルです。

1990年代に赤字転落から見事回復させたルー・ガースナーCEO時代のIBMは、このモデルの好例です。しかし、V字回復で安心してしまい、次のCEOの時代にはグーグルやアマゾンにあっけなく追い越されました。やる以上はずっと自転車操業のように走り続けないといけないのがこのモデルです。欧米流の自己変革モデルとしてはお薦めですが、日本企業がやるのは大変で、よっぽど経営がしっかりしていないとできません。

構成=成相通子 イラストレーション=ヴェロニカ・チェリ

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