この間、医療産業の資金調達や投資はまったく鈍化していない。それどころか、パンデミックがさまざまな分野に影響を及ぼし、人と人との距離が広がった世界でイノベーションを起こす必要から、投資家は実行可能な解決策を提供できそうな分野に以前にも増して投資意欲を強めている。
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とCBインサイツは最近、米医療関連業界のベンチャーキャピタル(VC)投資の最新動向に関するリポートを共同でまとめた。主な調査結果は次の通り。
場所
米国の地域別資金調達額の上位5位は、上からシリコンバレー、ニューイングランド、ノースセントラル(中北部)、サンディエゴ、ニューヨーク大都市圏となっている。2020年第3四半期(7〜9月)にシリコンバレーは25億ドル(約2600億円)近く、ニューイングランドは19億ドルを調達した。
両地域にはもともと投資や人材が集まっているので、この結果は当然とも言える。
分野
分野別で資金調達額が最も大きかったのはバイオテクノロジー(生命工学)。第3四半期は39億ドル近くの投資があり、第2四半期から38%増という大幅な伸びを記録した。治療法の開発や試験、新しい技術ツール、医療向けインターフェースまで、この分野では新たなイノベーションに向けた取り組みがかつてないほど広がっている。
次に投資額が大きかった分野は医療機器で、8億9200万ドル近くを集めた。
案件
2020年第3四半期に大型の資金調達をしたベンチャー企業は▽ブライトヘルス(Bright Health)=5億ドル▽ティゾナ・セラピューティクス(Tizona Therapeutics)=3億ドル▽ヴィレッジMD(VillageMD )=2億7500万ドル)▽フリーナム(Freenome)=2億7000万ドル▽スライヴ・アーリアー・ディテクション(Thrive Earlier Detection)=2億5700万ドル▽リカージョン・ファーマスーティカルズ(Recursion Pharmaceuticals)=2億3900万ドル▽インスティル・ビオ(Instil Bio)=1億7000万ドル▽クロノス・ビオ(Kronos Bio)=1億4800万ドル。
最後の3社(リカージョン、インスティル、クロノス)はいずれもバイオテクノロジー企業だ。