ホワイトハウスの発表によると、書斎の装飾は女性にスポットライトを当てており、特に婦人参政権を認めた米合衆国憲法修正第19条や、男女平等運動のパイオニアであった女性たちと、その声が米国のストーリーに与えた影響」をたたえるものとされる。
ただこうしたメッセージとは裏腹に、ホワイトハウスを飾る仕事は相変わらずジェンダー規範に沿ってファーストレディーが担当する。つまり、菓子作りや装飾などは女性の仕事だという固定観念を維持しながら男女平等をたたえているのだ。これまで行われてきた研究からは、女性は家庭でも職場でもこうした役割を期待されがちであることが示されている。
ファーストレディーがクリスマスツリーの装飾のテーマを選ぶ伝統は、ジャクリーン・ケネディーが1961年、ホワイトハウスの装飾にくるみ割り人形のモチーフを選んだことにさかのぼる。以降、歴代ファーストレディーは装飾のテーマを選ぶ役割を担い、完成した装飾と記念撮影を行ってきた。
世間からの厳しい評価の目にさらされるのは装飾だけではない。披露時のファッションや、装飾を紹介する際の“わくわく感”なども非常に重要で、完璧な評価を得ることはめったにない。メラニア・トランプはこれまでの飾りつけやファッションから「クリスマスの魔女」と呼ばれ、その装飾は“おどろおどろしい”と評された。
メラニアは2018年、巨大な赤のツリーを並べた装飾を披露。これに対しては、ツリーに白いボンネットの帽子を合成してテレビドラマ「ハンドメイズ・テイル」のコスチュームのように見せてからかう画像も出回った。
メラニアは今年、より伝統的な路線を選んだが、それでもデコレーションの間を歩く姿には批判が集まった。米紙ワシントン・ポストは、メラニアが「まるでこれまで一度も木を見たことがない人のように」ツリーを眺めたとコメント。
また、ジンジャーブレッド製のホワイトハウスに使うアイシングを準備する人々の様子を見るためキッチンに立ち寄らなかったことを批判する意見さえも出た。ファーストレディーは、クリスマスの装飾をどんなに頑張ろうと批判されてしまうのだ。