株価指標は好調、インド経済は「コロナ後の飛躍」に向かうか

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第2に、複数のハイ・フリークエンシー指標(消費や移動の規模に関する、毎日更新されるデータ)が、インド経済はパンデミック前の95%まで回復していることを示している。

「9月と10月には急速な回復が認められた。この傾向は12月に入っても続く可能性が高い」とミッタルは予測する。

IHSマークイットによるインド製造業購買担当者景気指数(PMI)の10月の値は59と、ここ10年以上で最も高い数値を示した。

これはまさに驚くべき数字だ。

株価指標のMSCIインディアは、過去6カ月で36.85%上昇した。これは、世界の新興国(エマージング)市場をカバーするMSCIエマージング・マーケット指数(プラス29%)や、米国のダウ平均株価(同17%)を上回る伸び幅だ。

この間、同国の中央銀行であるインド準備銀行も、いつものように金融刺激策で経済を支えてきた。キャッシュで満タンのバズーカを擁する中央銀行を軽視するのは禁物だ。

第2四半期に株式市場が上昇する動きを見せた点について、ミッタルは、インドでは資本コストが割安になっているとの認識が投資家のあいだで広がったことが原因とみている。これは多くの場合、より高い収益につながるサインだ。

第3四半期に入ってからのハイ・フリークエンシー指標も、インド株の上げ相場継続と足並みをそろえるかたちで、引き続き改善している。

一方、新型コロナウイルスの感染状況に目を移すと、インドでの死者数は、他の大国と比べて低いレベルにとどまっている。新型コロナウイルス感染症の検査件数や感染者数のデータを見ると、インドでは9月半ばに感染率がピークに達したことがわかる。さらに、新規の感染者数が減少しているのは、検査件数が減少しているためではないと、政府経済顧問のスブラマニアンは説明している。

これまでのところ、ロックダウンで大きな打撃を受けているのはインドのサービス業だ。同セクターは、インド経済の中でもかなりの割合を占めているため、2021年に向けた全体的な経済回復は、今後も不安定要因を抱えたものとなりそうだ。

なお、インド政府による労働市場に対する財政刺激策は、欧米と比べると小規模だった。具体的には、企業に対する人件費補助と、1回限りの給付金だ。

インド各州の政府は、オフレコの場では、ロックダウンによるキャッシュフローの途絶が、国内の中小企業の倒産を引き起こし、これがパンデミック後の経済に長期的な逆風となりかねないとの懸念を表明している。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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