C3.aiは、IPO価格42ドルで1550万株を売り出し、6億5100万ドル(約677億円)を調達した。9日の取引開始直後、同社の株価は140%以上上昇し、時価総額は一時100億ドルを超えた。
オラクル出身のシーベルは、自身が設立した「シーベル・システムズ」を15年前に60億ドルでオラクルに売却した後、2009年にエンタープライズ・ソフトウェアの開発を手掛けるC3.aiを創業した。同社のIPO申請書によると、直近事業年度の年商は1億5700万ドルで、前年から71%増加している。一方、純損失は6900万ドルで、前年度の3300万ドルから拡大している。
シーベルは、C3を設立した直後にアフリカを旅行中、象に襲われて重傷を負った。彼は、歯に衣を着せぬ物言いと、積極果敢なマーケティングで知られている。C3は、当初「C3 Energy」という社名で、エネルギー業界向けにクラウドサービスやデータアナリティクス、機械学習ツールを提供していた。
しかし、業績は低迷し、2016年に社名を「C3 IoT」に変えて新たな方針を打ち出した。それは、IoTのプロジェクトやインフラを構築・管理するエンドツーエンドのソフトウェアプラットフォームを提供するというものだった。
「会社を潰すわけにはいかなかった」とシーベルは2017年のインタビューで語っている。同社は、フォーブスが有望なクラウド企業100社を表彰する「Cloud 100」に2018年と2019年に選出された。
その後、同社は再び社名を変えて現在の「C3.ai」になったが、その際にはプレスリリースは出しておらず、社名変更の意図は明確ではなかった。
現在、C3.aiは産業アプリケーション向けにAIツールを提供しており、予知保全や不正検知、膨大なセンサーデータの分析など、AI機能を前面に打ち出している。「顧客にプレゼンテーションをする際、いつも冒頭の20分を使って我々がIoT企業でないことを説明している。多くの人は、IoTと聞くとデバイスなどハードウェアを連想するからだ。我々はデバイスにつながるが、IoT企業ではなく、ソフトウェア会社であると説明している」とシーベルは話す。