9位・総合感冒薬は、感染症予防の徹底の影響も。インフルエンザも異例の低水準
今年は風邪をひく人が少ないなどと報道されることも多かったが、それを裏付けるように9位・総合感冒薬は79%の販売金額となった。年代別で見ても、すべての年代で購入率が下がっていることも分かる。マスクの着用や手洗い・うがいの徹底、3密の回避などのコロナ対策は、そのまま他の感染症予防対策にもなり、今年はインフルエンザの患者数も異例の低水準にとどまっている。今年、売れたものランキングではマスク、殺菌消毒剤、体温計、うがい薬、ぬれティシュなどの衛生系のカテゴリーが上位を独占していたが、世相を反映した結果と言える。
●総合感冒薬の年代別の購入金額・購入率
ステイホーム、在宅勤務などの影響は食品、飲料、雑貨などでも
お菓子類の中では11位・チューインガム(82%)、28位・キャラメル(91%)、29位・キャンディ(91%)なども苦戦。移動中や外出先、オフィスで、ちょっと口に入れてというイメージもあり、在宅勤務や移動の減少で減ったことが推察される。14位のミニドリンク剤(85%)も都市部のオフィス街での売り上げが落ちたというデータもあり、ワークスタイルの変化が影響しているようだ。
12位・コンタクト用剤(83%)、18位・制汗剤(88%)、19位・スポーツドリンク(88%)、21位・使い捨てカイロ(89%)、23位・外用鎮痛消炎剤(89%)なども外出の減少や、スポーツやレジャーの機会が減ったことが理由に挙げられそうだ。
激動だった2020年。世界的規模の感染症で、人々の生活や行動も大きく変わった。日本でも冬に向けて感染拡大が心配される一方で、世界ではワクチンの開発など明るいニュースも出てきている。これによりある程度元通りの生活に戻るようなら、販売で苦戦したカテゴリーでも需要が急回復することも期待できる。
そうでなくてもマスクにつきにくい口紅など、withコロナと言われる時代に対応した新商品がどんどん開発されることにより、新たな需要を生み出す可能性もある。来年はどのような年になるのだろうか──。
●使用したデータ/関連プラットフォーム
【SRI®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1* のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データ。
* 2019年3月現在
※SRIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開していない
【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女52500人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データ。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができる。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開していない
株式会社インテージ◎「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指す。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、顧客企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援する。(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩)