ワクチンの製造に関わる企業としては、バイオプロセス関連の研究を手がけるサーモ・フィッシャー・サイエンティフィックや、メルク、Avantorを含む5社の売上が、それぞれ15%以上増加する可能性があるとバンク・オブ・アメリカは予測している。
一方、ペンシルバニア州本拠のワクチン包装用ゴム栓メーカーのWest Pharmaceuticalは、15%以上の増益を達成し、業界をリードするとアナリストは予測している。
また、物流分野で最大の恩恵を受けるのは、香港のキャセイパシフィック航空になるという。同社はフェデックスやUPS、DHLなどの宅配業者と提携しており、幅広い国にワクチンを輸送することで、来年は6億4000万ドルの売上が見込めるとバンク・オブ・アメリカは予測した。
米国では、フェデックスとUPSはワクチンの国内輸送からそれぞれ1億ドルから3億ドルの売上の増加が見込めるという。しかし、この金額は両社の年間売上がそれぞれ約200億ドルであることから考えると、わずかなものでしかない。
バンク・オブ・アメリカによると、冷蔵倉庫業者の売上を予測することはまだ難しいという。しかし、エンジニアリング大手のエマソン・エレクトリックとTrane Technologiesらは、それぞれ13億ドルと20億ドルの増収を記録する可能性があるという。さらに、アルケマとサーモ・フィッシャーもまた、この市場をリードするエクスポージャーを持つとされた。
国内の2大ドラッグストアチェーンであるCVSヘルスとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは、予防接種の現場から恩恵を受けるため、小売業では最高のポジションにあるとされる。しかし、それが財務にどの程度の影響を及ぼすかは、まだ見通せないとバンク・オブ・アメリカは述べた。
「ワクチンの製造や流通に関わる全ての企業が利益を期待できる訳ではないが、一部の企業、特にワクチンの製造を可能にする企業や、アジアや欧州にワクチンを輸送する企業は大きな利益を期待できる」と、バンク・オブ・アメリカは述べた。
バンク・オブ・アメリカのバイオ医薬品アナリストは、米国や欧州、日本での緊急使用許可を受けて、約2億人の医療従事者と高齢者らが、今後数ヶ月の間にモデナ社製もしくは、ファイザーとバイオンテックが共同開発したワクチンを接種することになると予測している。
来年の下半期までに、これらの3つの市場でワクチンを希望する全ての人がワクチンを接種可能になると、同銀行は予測した。
バンク・オブ・アメリカのアナリストは、2021年に16億5000万回分のワクチンが世界に提供されると述べた。しかし、これは、今後ワクチンメーカーが製造すると予測する数十億回分の、ほんの一部でしかない。