同社の主力製品は、定価50ドルの「OGハンドロール」と呼ばれる1.5グラムの大麻ジョイントで、高度な訓練を受けた職人たちの手作業によって巻き上げられている。このジョイントは、少量生産の大麻で作られたもので、プレミアムシガーのように燃えるという。
先月、モノグラムを買収すると発表したSPAC(特別買収目的会社)の「サブバーシブ・キャピタル・アクイジション(Subversive Capital Acquisition)」の創業者のMichael Auerbachは、「ジェイ・Zはこのブランドの単なる宣伝マンではない」と話している。
ジェイ・Zは2019年に、カリフォルニアの大麻企業Calivaのブランド戦略主任に就任し、同社とのジョイント・ベンチャーとしてモノグラムを立ち上げていた。
サブバーシブ社は先月、モノグラムとCalivaらを株式交換を通じて買収すると発表した。同社は昨年夏にカナダの株式市場NEOに上場し、5億7500万ドル(約600億円)を調達していたが、今後は社名を「ザ・ペアレント・カンパニー」に改め、大麻業界をリードする存在になろうとしている。
ペアレント社の傘下には、ボブ・マーリーやカルロス・サンタナの大麻ブランドを保有するLeft Coast Venturesも加わることになる。
株式交換によって、ジェイ・Zはモノグラムの持ち分50%をペアレント社に譲り、その引き換えにペアレント社の株式500万株以上を取得する。ペアレント社はさらに、ジェイ・Zの音楽事務所Roc Nationとの間で独占契約を結び、Roc Nationをブランドパートナーとする。
ペアレント社はまず2500万ドル相当の株式をRoc Nationに譲渡し、その後は毎年750万ドルを支払う。Auerbachによると、今後はリアーナを含むRoc Nationの所属アーティストたちが、ブランドの成長に必須の役割を果たすことになるという。
ジェイ・Zはさらに、ペアレント社の社会貢献プログラムのトップに就任する。同社は今後、毎年の純利益の2%を黒人などの人種マイノリティが運営する大麻ビジネスの支援に寄付していく。
ジェイ・Zは音楽活動と並行して多様なビジネスを運営しており、2019年にはヒップホップ界初のビリオネアとなっていた。シャンパンブランドの「Armand de Brignac(アルマン・ド・ブリニャック)」を保有する彼は、コニャックブランド「D’usse」にも出資し、音楽配信サービスのTidalの運営も手がけている。さらに、ウーバーやロビンフッドの株式も保有している。
ウォーレン・バフェットは2010年にジェイ・Zとランチを共にし、彼についてこう話していた。「これから大人になる若者たちが何かを学ぶ場合、彼は絶好のお手本となる人物だ」