ビジネス

2021.01.02

「買収名人」グーグルによる、事業シナジーからコアサービスの産み方

買収によって生まれるシナジーが世界一のサービスになっていく


Applied Semantics

買収時期: 2003年
買収金額: 1.02億ドル

Google自体がまだまだ駆け出しの検索エンジンサービス会社だった2003年に、サンタモニカのとある無名スタートアップを買収した。Applied Semanticsと呼ばれるそのスタートアップは、オンライン広告に関するソフトウェアを開発していた。

その地味さからこの買収はあまり知られていないかもしれないが、実はGoogleのコアビジネスモデルに対して多大なる貢献をしている。

この買収により、AdSenseサービスにおけるコンテンツに対する広告表示の精度を格段にアップさせ、Overtureに代表される競合に対して大きな差をつけることに成功した。

Urchin Software

買収時期: 2005年
買収金額: 約3000万ドル

現在では多くのWebサイトに導入されているアクセス解析サービスのGoogle Analyticsは、2005年にGoogleが買収したUrchinというサービスが元になっている。

その当時のアクセス解析はサーバーのログを可視化し、グラフとして表示される仕組みが代表的で、その中でもホスティング会社やISPが提供するパッケージに同封されていたUrchinが使いやすかった。

この解析サービスと検索データを組み合わせることで、現在ではアクセス解析のデフォルトサービスとして利用されているGoogle Analyticsが生み出された。それを考えると3000万ドルの買収額は決して高くない。

Where 2 Technologies

買収時期: 2004年
買収金額: 非公開

Google系のサービスの中でも最も身近なGoogle Mapが生まれた背景には、2つのスタートアップの買収がある。下記に紹介するKayholeと、オーストラリアのWhere 2だ。

Where 2は元々パソコン向けのダウンロード型アプリケーションを開発していたが、Googleのファウンダー、 ラリー・ペイジにWebバージョンじゃないと興味ないと言われたことで、プラットフォームを変更した。

その後、Googleによる歴代2社目の買収先となり、現在のGoogle Mapにつながることとなった。

Keyhole

買収時期: 2004年
買収金額: 非公開

Google Mapのサテライトビューを実現したのが、2001年に創立したKeyholeの買収である。Keyholeは衛星や飛行機から撮影した地形写真が見れるパッケージソフトを$69.95で提供していた会社。

Googleが買収した後は、価格を$29.95に下げたのち、その機能がGoogle Mapに実装されることになった。

日本ではまだまだ発展途上の大企業とスタートアップとのコラボ


これらのGoogleの例を見てみると、かなり上手にスタートアップサービスとのシナジーを生み出しているのがわかる。

その一方で、日本でもオープンイノベーションなどの取り組みを通じて大企業とスタートアップとのコラボの取り組みが行われているが、まだまだ目立つ成果にたどり着いていない。

企業カルチャーが違ったり、大企業の決断スピードが遅かったり、そもそも大企業側がスタートアップに対して上から目線で接している点など、複数の要因があると考えられる。


※この記事は、btraxのブログFreshtraxから転載・編集されたものです。
※過去の配信はこちらから。

文=Brandon K. Hill(CEO of btrax inc.)

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