1. design:見た目のデザインが中心
おそらく“デザイン”と聞いて最も多くの人々がイメージするのが、この小文字のdesign. いわゆる、“見た目”の良さを追求し、商品やサービスの良さを届けるのが役割。ある意味で、昔からあるデザインの概念と役割。デザインの種類例としては下記が挙げられる
●グラフィックデザイン
●工業デザイン
●広告デザイン
などが代表的で、その特徴としては───、
* 特定のユーザー向け
* 完成させることが目的
* 職人的仕事内容
となる。このdesignにおいては、ターゲットの顧客が誰であるかが、ある程度想定され、そのユーザーに対してできるだけ“完璧な”デザインを施す。例えば、お菓子のパッケージは、そのターゲット顧客向けのグラフィックデザインが施され、自動車のデザインも、特定のユーザー層を想定して設計される。もちろん広告作成はターゲット割り出しが肝心だ。
その仕事内容から、デザインを完成させることが一番の目的となり、1mm単位のズレや予定外の色のムラも許されない。おのずとデザイナーの仕事は極めることが重要で、かなり職人的な内容になってくる。
2. Design:利用することを目的としたデザイン
次に来るのが、インターネットやモバイル、そしてデジタルメディアの発達から生まれた比較的新しいタイプのデザイン領域。これまでは紙媒体や物体など、手に取れるものをデザインしていたのに対し、このタイプのデザインのその多くが画面の中に存在する。
具体的な例として下記がある
●Webデザイン
●UIデザイン
●デジタルコンテンツ
多くがデジタル媒体向けで、一昔前は紙媒体を経由してからこのタイプのデザイナーになっていることが多かったが、最近では最初からデジタルオンリーのデザイナーも少なくない。一つ前のdesignと比べるとその役割と仕事内容に下記のような大きな変化が見られる。
* 不特定のユーザー向け
* 完成してからも改善
* 進化し続ける仕事内容
これはどういうことかというと、デジタルxインターネットという特性上、いつどこで誰がどのような方法でアクセスするかが予想しにくくなった。そして一つ前のデザイン領域とは比べ物にならないほど多くのユーザーに利用される可能性が高まった。それにより、完璧なデザインをするよりも、より多くのユーザーに使ってもらいやすいデザインを施す必要が出てきている。
Webサイト1つとってみても、世界中からアクセス可能で、そのデザインが表示されるデバイスもPCやモバイル、タブレットなど複数。そして、画面の大きさや解像度、発色具合などを考えると、全くズレのない“完璧な”デザインを届けることがほぼ不可能になっている。
したがって、“完璧”を目指すことがほぼほぼ不可能。むしろ、完成という概念がなく、最大公約数でより多くのユーザーに使いやすいデザインを行うことの優先順位が上がる。
そして、一度デザインしたとしても、そこで仕事は終わらない。テクノロジーやデバイスの進化に合わせて常にデザインもアップデートする必要があるからだ。これにより、デザイナーの仕事も常に進化し、新しい技術や知識を常に習得する必要がある。これは、職人的デザイナーから進化型デザイナーへの変化でもある。