ビジネス

2020.12.11

世界が注目、アートとカルチャーの聖地「KOMIYAMA TOKYO」誕生秘話

小宮山書店三代目の小宮山慶太代表


──コロナ禍でアートシーンはどのように変わったと感じていらっしゃいますか。

緊急事態での外出自粛は大変でしたが、KOMIYAMA TOKYOのホームページは英語対応していて海外に向けても発信しているので、幸いにもなんとかしのげました。テレワークが進み、自身のデスクの背景に絵画などのアート作品を置いておきたいというニーズは感じますね。

日本は経済的には先進国ですが、アートは後進国です。最近では自宅でホームパーティーをする人も増えていますが、自宅を私的な「小さな美術館」と捉えることを提案します。招待したお客様に自身のアイデンティティを理解してもらう場として、好きな絵や作品を飾るとより人間関係が楽しくなるように思います。

コロナ禍で加速していると思うのが、ここ数年、30代ぐらいの若い方でもIT事業などで財を成した人が節税や投資目的も兼ねてごそっとアートを買うようになったことです。急激な値上がりが続いていて、アートバブルと言えます。さらに転売ヤーが出てきて、ネットでは一時的にすごく高値で取引されている状態です。アートは昔からお金儲けの道具になってきた歴史がありますが、僕はアーティストとしっかり組んで、本当にアートが好きな人に買ってほしいと思っています。

アーティストと本気で向き合い、応援したい


──小宮山さんはアーティストに熱心に助言をしたり、育成したりしていますよね。どのような思いでアーティストを育てているのですか。

制作活動はしていても、自分の作品を売ったことがないアーティストも多いので、僕は作品を売る方に立ち、参考にしてもらえたらという思いで作者に意見をすることもあります。

天野タケルさんの作品は先日全て完売し、セカンダリーの値段も付いてきたので「良かったね」と話しています。くっきーさんの作品も完売しました。彼らはアドバイスを熱心に聞いてくれますね。強制ではなく、あくまで応援の気持ちです。信頼関係を築くことが大切だと考えています。

アーティストにはオリジナリティを追求してほしいです。やはり売り手からすると、似たような作品を売っても仕方がない。自分の色が出てこないといけないですよね。見た瞬間に「これはあの作家の作品だ」と言ってもらえないといけない。最初から完成しているアーティストはいないので、心意気としてそういう思いを持っている人を応援したいですね。

騙し騙されもあるアートの世界だからこそ、ちゃんと見る目を持っていいものを生み出してもらい、僕はいいものを見極めていきたいですね。うちはプライマリーの作品を売っていますから、より丁寧に向き合っていきたいです。



──いいものを見極めるにはどうしたらいいのでしょうか。

商売としては高いものを買っていただく方がいいのでしょうが、アートはやはり自分自身が好きな作品を買うのが一番です。将来値段が下がろうが上ろうが、本当に自分が好きなものなのだから納得できるんです。自分で選んで、これが好きだと思って購入することが大切ですよね。

投機的、投資的に買うのであれば、高くても価値が定まっているものを買うのがいいと思います。
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聞き手、写真=小田駿一 構成=林亜季

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