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2020.12.11

世界が注目、アートとカルチャーの聖地「KOMIYAMA TOKYO」誕生秘話

小宮山書店三代目の小宮山慶太代表


きれいな洋書を扱っている古書店や、美しいアートを取り扱っているギャラリーは多いですが、そうした中で自分なりに何ができるか考えました。その結果、この十数年でシフトさせてきたのは、あまり市場にないものを取り扱おうということです。世の中に露出していない隠れた名品を手掛けていきたいと思いました。

高校時代から美術を学んできて、アーティストに憧れた時期もありましたが、私はアーティストを応援する立場になろうと決めました。三島由紀夫や横尾忠則、寺山修司、佐伯俊男、荒木経惟、森山大道、ウイリアム・クラインなど、時代をつくってきた偉人達の作品を蒐集。アーティストたちを点と捉え点と点を結び、そこに時代的な要素を足すことでアーティスト相関図を「球体」にしていくことが私の考える「面白い」世界観になりました。



ジャンルや時代に縛られずに、本当に自分が買いたいものを広げていこうと決めました。そんな感覚でいたら書店的な売り方から離れていき、逆に本屋さんにもアマゾンにも出回っていないようなアンダーグラウンドなものにしっかり光を当てていくようになっていきました。ガラッと変えましたね。

大人が満足できるクオリティの高いフィギュアなどの作品も取り扱っています。古本屋さんってまだまだ堅い雰囲気があるので、スターウォーズの等身大のフィギュアを店内に置いたりして、気軽にカルチャーを楽しんでもらえる商品構成にしています。

アーティストへの、一歩踏み込んだ「愛」と「固執」


──アートやカルチャーと言えば「KOMIYAMA TOKYO / 小宮山書店」。カオスを感じる店内の雰囲気と独特の品揃えがすごく魅力的です。このような大転換は並大抵のことではなく、すごく勇気が必要なのではないでしょうか。アートやカルチャーにかける思いを教えてください。

トランスジェンダー、緊縛、刺青、アンダーグラウンドカルチャーなど、様々なテーマを扱うようになり、年々その範囲を広げてきました。これまでのアートシーンでは見向きもされず、光の当たっていなかったジャンルをどんどん研究し直してチャレンジしています。アーティストたちの挑戦や発信に、私自身勇気づけられます。

小さな書店ですが、小さいなりに知恵を絞って、このジャンルなら負けないというものを開拓し、しっかり残っていきたい。そう思ってやってきました。

もちろん商売ですから、お金儲けは重要です。実際、そこばかり見えている人も少なからずいると思います。ただ、我々のようにプライマリーアーティストを扱っているからには、リスクを引き受ける、一歩踏み込んだ「愛」や「固執」が必要なのだと思います。


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聞き手、写真=小田駿一 構成=林亜季

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