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写真のミライ

小宮山書店三代目の小宮山慶太代表

新型コロナウイルスによる世界的な大混乱を経て、あの人は今、何を考えているのだろう。各方面で活躍する有識者に話を聞いてみたいと、インタビュー連載を始めた。

きっかけは、僕がフォトグラファーとしてこの事態を記録したいと、緊急事態宣言下の東京の夜を撮影し、その写真を収録した写真集『Night Order』を上梓したことだ。

撮影や制作の過程で、写真という表現や、写真集という紙のメディアについて深く考えた。わずか500部限定で制作した私家版の写真集にもかかわらず、コンセプトに共感いただき、都内を中心に13店舗の書店で販売していただいている。

古書店の概念を覆す、多彩なアートを取り扱う「小宮山書店」


真っ先に取り扱いが決まったのが東京・神保町で1939年に創立、80年以上続く老舗古書店『小宮山書店』だ。

古書店の概念を覆す、独特の品揃え。フォトプリントや写真集、絵画、イラスト、アート作品、エロティックアート、日本文化に関する書籍、雑誌、ポスターなど。国内外の世界的なアートフェアやフォトフェアにも出展し、独自の立ち位置で日本のカルチャーを発信し続け、海外からも注目を浴びる。



多彩なアーティストの作品を取り扱う。女子アンダーカルチャーの旗手で写真家・編集者としての顔ももつ米原康正、歌手兼絵師として活躍しファンの間で神格化されるほどの人気を誇る秋赤音、世界的に活躍しているロープアーティストであるHajime Kinoko、クラシック美術と現代ポップカルチャーをクロスオーバーさせた作品を展開する天野タケルなど。

最近ではお笑いコンビ「野性爆弾」のくっきーを「COOKIE」として芸術家デビューさせた。12月11日から10日間、8人のアーティストとともに「REAL TOKYO ART」展を開催している。

今回は小宮山書店三代目の小宮山慶太代表に話を聞いた。コロナ禍で、世界的にアート作品が売れているとも言われる。出版不況が続く中、独自の切り口で書店の新境地を切り拓いてきた唯一無二の存在である小宮山さんは、日本のアートシーンの今を一体どのように捉えているのだろうか。

カトレヤトウキョウ塩内浩二氏編集者のKESIKI九法崇雄氏ジャーナリストの古田大輔氏に続く4本目。

ネットの価格競争で古書店が疲弊


──小宮山書店の三代目として約30年、小宮山さんから見て一体何が変わったのでしょうか。

今では当然になってしまいましたが、インターネットとSNSの登場で古書業界を取巻く環境は一変しましたね。かつての小宮山書店は文学や歴史書などを扱う「堅い店」で、昔は本当に売れていたそうです。

芥川賞や直木賞作家の初版本が飛ぶように売れた時代がありました。銀座に美味しいご飯屋さんがたくさん集まるように、神保町に珍しい本がたくさん集まり、高値がついていました。現在は専門店で10万円で売っている本を、インターネットで5万円で売る店が出てくる。それを見た違う店が4万円で販売し、今度は個人が3万円で出品……といった感じで価格競争が進み、ダンピングが加速しました。ネットでの価格競争に参戦し、書店は疲弊してしまいました。

商品のコンディションなど価格に反映される要素は多々あり、ネット上ではいい加減な物も溢れているとは思いますが、消費者は安く商品を手にすることができるわけで、世の中の流れだと感じています。

聞き手、写真=小田駿一 構成=林亜季

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