レンディングツリーのチーフエコノミスト、テンダイ・カピフィツェ(Tendayi Kapfidze)はこう述べる。「失業率が記録的な高さに達したことや、人口が集中する大都市からほかの場所へ移り住む人が多いこと、もっと広い家に住みたいという願い。そうしたことが動機となって、米国では住宅に関する優先順位が見直されていることがわかった」
都会暮らしを好んできたミレニアル世代の家族が、郊外の一戸建て住宅に移ったり、成人しているにもかかわらず親の住む実家に戻ったりと、住居費について真剣に考える人が多くなっている。
レンディングツリー調査報告書の重要ポイントをまとめてみよう。
・来年(2021年)中の転居を検討していると回答した人は、全体の46%を占めた。転居先別では、現在の居住地域内が27%、州内の他都市が12%、他州が8%となっている。
・今後12カ月以内に転居を検討している人は、自宅所有者(39%)より、賃貸に住む人(56%)のほうが多い。
・67%の人が、これまで考慮したことのなかった居住環境を求めている。希望する環境の上位3つは、庭(27%)、より広いキッチン(18%)、仕事用スペース(16%)だった。
・14%の人が、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけで家族や友人と一緒に住むようになったと回答した。
「調査結果はどれも、景気と生活費への関心が高まっているとする一般的な通念を裏付けている。人々は、たとえ仕事があっても不安を感じている。パンデミック当初は、雇用の喪失は一時的なものだと考えられていたが、なかには永久に失われた仕事もある」と、カピフィツェは述べる。住居費は1カ月の生活費の中でかなりの割合を占めており、それを削減しようとするのは当然のことだ。
「自宅所有者の主な節約手段のひとつが(住宅ローンの)借り換えだ。最新の数値から、借り換えをするとメリットを得られそうな人が2000万人いることがわかっている。現状ではクレジットスコアがあまり高くないという理由で、この機会を見送るべきではない。ぜひ金融機関に相談してほしい」とカピフィツェは話す。