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国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長(Getty Images)

米国で医学部が異例の人気ぶりとなっている。全米医科大学協会(AAMC)によると、今年の志願者数は前年比18%増と10年ぶりの大きな伸びを記録した。新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、最前線で患者の治療に尽力する医療従事者や、米国の対策を主導するアンソニー・ファウチ博士ら公衆衛生専門家の活動に刺激された動きとみられている。

AAMCのシニアディレクター、ジェフリー・ヤングは米公共ラジオ(NPR)の番組で、米国で医学部に対するこれほどの関心の高まりは「前例がない」と語った。

スタンフォード大学医学部は定員90人に対して、前年比50%増の1万1000人が出願。ボストン大学医学部は定員110人に対して、同27%増の1万2024人の願書を受け付けた。

ボストン大医学部の入学事務局長は、志願者の増加について「アンソニー・ファウチを見て、また地域社会の医師たちを見て、人々がすごいと褒めそやしている状況と大きく関係しているのではないか」と話す。

NPRによると、大学の入学担当者らの間では、今年の志願者増は「ファウチ効果」と呼ばれている。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)の指導を通じて若い世代を奮起させた、との見立てだ。

ヤングは、自身の知るかぎり今回の医学部人気に比べられるものは、9・11の同時多発テロ後、米軍の入隊志願者が急増したことくらいかもしれないとも言及している。

もっとも、今年の医学部志願者の増加には、入試の要件が緩和された影響もあるかもしれない。新型コロナの感染拡大を受けて、一部の大学は医科大入学試験(MCAT)を免除したり、願書受け付けの締め切りを延ばしたりした。

いずれにせよ、志願者の増加は医師不足が進む米国の医療界にとって朗報なのは間違いない。AAMCは、米国では2033年までに医師が5万4100〜13万9000人足りなくなると予想している。

ファウチ効果と呼ばれる現象について、当のファウチ自身は「褒めすぎ」だと謙遜し、「実際はおそらく、個人の健康、そして世界の健康に貢献しようと努力し、願わくばそれに成功しつつある医師の効果だろう」と語っている。

ただ、「医学部に進学する若者を増やすのに役立つというのなら、どうぞわたしの名前を使ってほしい」とも言い添えている。

編集=江戸伸禎

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