1つ目は、街頭に仕掛けたカメラを使用した、人の流れの検知や、顔認識を使った人物検知システム。2つ目は、空き情報や、ナンバープレートの情報を管理できる駐車場のシステム。3つ目は、車に搭載し、交通情報を分析するシステム、4つ目は、人の流れや広告の閲覧状況がわかる、カメラを搭載したサイネージ広告、5つ目が在席状況や覗き見など、画面の前の様子を認識する在宅勤務支援システム、6つ目が、画像から服を検知し、ファッションを解析、トレンドの推移などを分析するサービスだ。
我々が描いているのは、リアルの世界でのグーグルのような存在になること。グーグルの「主力事業、製品は何か」と聞く人はいない。検索エンジン、メール、マップなど複合的に集まってデジタルエクスペリエンスを作っているからだ。
我々も、6事業の一つ一つが飛躍的な成長を遂げる可能性があり、産業を変革するインパクトを持ち得る。それを汎用化し社会実装することを目指している。スマートシティの世界における市場規模は、25年に100〜200兆円と言われ、日本を含むアジア市場に高い成長が期待されている領域であり、それぞれの事業でユニコーン・クラスの事業展開ができるのではないか、と考えている。
──今後の戦略は。
グーグルが提供しているようなオンライン上の経験をリアルで実装していくことがAI領域の勝ち筋だと考えている。たとえば、リアルな街の中での情報検索はAIカメラが行う。カメラに写った情報を深層学習で読み取り、属性を判断、タグ付けする。私には30代の男性であるというタグが付けられる。街の中の広告はデジタルサイネージ広告。オンライン上のクリックに当たる、インプレッションは人の視線です。これもグーグルがオンライン上で行なっていることをAI領域で行うことだ。
我々が掲げているのは、AIカメラを街にもたらすことでリアル空間のデジタル化と社会課題解決を目指す「AIスマートシティ革命」。インターネットにおいてADSLが果たした役割のように実用化へのブレイクスルーが、NVIDIAのJetsonシリーズの登場でAI領域でも起きた。それにより、我々が強みとする「エッジ端末へのAI実装技術」が社会実装される。
クラウドAIとは異なり、エッジAIは、顔などの個人情報を含んだ映像を端末で処理できるためサーバーに送る必要がなくなるため、拡張性や柔軟性が高く、低消費電力、低遅延、低コスト。かつ、端末でデータを処理するため、スマートシティ領域の課題であったセキュリティの解決、個人情報やプライバシーにも配慮できる。
こうした技術をもつ企業は、世界的に見ても、競合企業が中国の数社しかない。スマートシティ市場では、アジアが成長源と言われているなか、中国は国をあげて取り組んでいる。
5年経つと勝負は決している。主戦場は「いま、ここ」だと思っている。