前編で紹介したナイジェリアのフィンテック企業、フラターウェーブ創業者のナイジェリア人起業家イノルワ・アボイェジ(Iyinoluwa Aboyeji)らが立ち上げたのが「Future Africa Collective」というローリング・ファンドだ。
LPとしてFuture Africa Collectiveに参加するためには、まず会員に応募する。年会費1000ドルを支払い、4半期ごとに、提案される5つのアフリカのスタートアップに対して、最低投資額5000ドルから参加できるという仕組みだ。
今年8月には、西アフリカを拠点に活動するテクノロジー起業家・投資家のビクター・アセモタ(Victor Asemota)が、多数のLPから月100ドルを募り、毎週アフリカのスタートアップに投資していくというアイデアをツイッター上に投稿。前向きな反応を得た後、そのアイデアを、アフリカ人のためのアフリカ人による「Nkali Fund」と名付け、現在立ち上げ準備中だ。
ローリング・ファンドの展開と、マイクロサイズのLPが増えることによって、今までスタートアップ投資に参加することができなかった層がエコシステムに参加でき、スタートアップにとっても資金調達の可能性が広がる。GPにとっても、管理コストを下げ、資金調達段階からそのファンドついて公表し、より効率的に投資家を募ることができるというメリットがある。
共創的パートナーシップ構築に向けて
資金アクセス(資金調達)は、どの起業家にとっても最重要課題の一つだが、AfricArenaにおける討議では市場アクセス(流通)も、アフリカの起業家にとっては非常に大きな課題であり、コストであるとの指摘があった。この点について、AfricArenaの登壇者の一人であったザカリア・ジョージ(Zachariah George)は、大企業とスタートアップとの連携の必要性を述べた。
アフリカにおけるスタートアップ法に関するパネルに参加するザカリア・ジョージ(左から2番目)(c)AfricArena
大企業が構築した流通チャネルは、起業家の市場アクセスを可能にするからだ。起業家が、早い段階で、かつローコストで市場にアクセスできれば、市場のフィードバックに応じてプロダクトの精度を高めたり、ビジネスモデルを改めたりすることができる。
大企業は、起業家やスタートアップのアイデアを活用したオープンイノベーションに取り組むほか、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を立ち上げるという選択肢もある。アフリカでは、現時点でCVCがほとんど存在していないとジョージは指摘する。市場のギャップが少なくないアフリカだからこそ、大企業とスタートアップが補完しあえる可能性が高い。