ビジネス

2020.12.22

多様化するテックベンチャー投資が促す、アフリカの共創的未来

11月に開催されたアフリカリーナでは、アフリカにおける起業家が抱える課題が討議された。(c)AfricArena


この課題に関しては、米国の連続起業家ジェイムス・ノーマン(James Norman)が、ハーバード・ビジネス・レビューに「VCのための黒人起業家投資ガイド」という少し皮肉めいたタイトルの記事を寄稿している。

ノーマンが指摘する黒人起業家目線での4つのポイントは、1. 黒人は別の(黒人の)課題を、別のソリューションで解決しようとしている点、2. (特権を持った白人と比較して必ずしも恵まれていない)環境とリソースを抱えているという点、3. 黒人は(白人とは)違う文化とコミュニケーションスタイルを持っている点、4. (黒人が)無意識的な偏見と差別にさらされているという点だ。

ノーマンの指摘は、米国の黒人起業家にだけでなく、アフリカの黒人起業家にも当てはまる可能性が高い。

クラウドファンディングの可能性


他方、資金調達をより民主化・多様化させようという動きもある。その一つがクラウドファンディングだ。アフリカにおけるクラウドファンディングに関する、AfricArenaによる報告書によると、現在、エコシステムに不足しているシード、アーリーステージの資金調達に対して、クラウドファンディングは一つの有効な解決手段になる可能性を指摘している。

クラウドファンディングには、一般的によく知られている寄付やリターン購入を求めるプロジェクト型の他に、株式投資型と融資型がある。

プラットフォームの信用性、投資側と起業家側との信頼関係の構築を実現するためには法整備も重要だ。同報告書によると、アフリカではナイジェリア、ガーナ、ケニア、エジプトが、株式投資型・融資型のクラウドファンディングの拡大が期待できるとしている。多様な投資家を集めるためには、ペイメント方式や多国通貨に関する課題解決も必要だ。


AfricArenaのアフリカのクラウドファンディングに関する調査報告書「Crowdfunding in Africa」より抜粋

ローリング・ファンドとは?


また、より多くのアフリカ人がアフリカのスタートアップに投資する手段として注目されているのが、ローリング・ファンドだ。ローリング・ファンドとは、四半期ごとのサブスクリプション方式で資金調達し、資金を繰り越しながら運用することができる新しいタイプの投資ビークルだ。

GP(General Partner)と呼ばれるファンドマネージャーは、通常、短期間でファンド全体の資金を調達し、かつ追加調達ができずに、一定期間固定された額を運用する必要があるが、ローリング・ファンドだと、継続的に調達しながら運用し、かつファンドサイズを大きくしていくことが可能だ。さらに、投資額のハードルが低いことから、LP(Limited Partner)と呼ばれる投資家がスタートアップ投資に参画しやすくなるというメリットもある。
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文=MAKI NAKATA

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