2019年、アフリカのテックベンチャーに対するVC投資の総額は約20億ドル(約2100億円)という過去最大の額を記録した。昨年までの過去5年間、そして今年コロナの影響を受けるまでは、アフリカテックベンチャーに対するVC投資額は増加し続けてきた。
ロックダウンで経済活動が停滞してしまったが、アフリカ人起業家や関係者らは「アフリカのリジリエンス」に希望を抱いている。
しかし、アフリカへの投資は加速してきたものの、世界的なシェアは1%にも満たない。AfricArenaの報告書によると、2019年の比較数字をみると米国が1365億ドル、アジア太平洋が566億ドル、欧州が361億ドルという規模だ。人口一人当たりの投資額を指標にすると、米国の416ドルに対して、アフリカでは2ドル以下という数字だ。
AfricArenaの2020年度のアフリカテックエコシステムに関する調査報告書「The State of Tech Innovation in Africa – Perspectives from founders, investors and corporate 」より抜粋
アフリカのVC投資の内訳をみると、額ではナイジェリアがトップで37%のシェアを占め、ケニア、エジプト、南アフリカと続く。案件数では南アフリカがトップで、ナイジェリアは4位。ナイジェリアでは他国に比べて一案件に対する投資規模が大きいことが伺える(Partech社による調査報告書「2019 Africa Tech Venture Capital Report」参照)。
分野別では、投資額の41%がフィンテック分野のベンチャーに対するもので、オフグリッド・テック、B2Bソリューション、ヘルス・テックと続く。フィンテック分野では、例えばB2Bのペイメントをサポートするナイジェリアのフラターウェーブ(Flutterwave)、ペイスタック(Paystack)、南アフリカのヨーコー(Yoco)などが成功企業として注目されている。
記事後編では、このアフリカのテックベンチャー・エコシステムをさらに拡大化・民主化させるために必要な投資家やエコシステム参加者の多様化について考察する(12月22日公開)。