2017年以来、毎年同時期に南アフリカ・ケープタウンで行われてきたイベントは、今年は新型コロナウイルスの影響でオフラインイベントを縮小、オンラインフォーラムを拡充させての開催となった。世界がパンデミックと経済停滞の課題に向き合う状況だが、アフリカ発のテクノロジー・スタートアップへの投資においては、中長期的な成長が期待できそうだ。
本コラムの前編では、AfricArenaとアフリカにおけるテックベンチャー・エコシステムを概説する。
AfricArenaの4日間のメイン会議のうち、2日目と3日目はケープタウン、ウォーターフロント地区にあるコワーキングスペースでリアルイベントが開催され、同時にオンライン中継が行われた。会場では、コロナ対策としてのソーシャル・ディスタンス、マスク着用、検温、消毒などが徹底され、参加者も関係者や招待者のみに限られていた。
オンライン会場「AfricArena Air」では、基調講演などのプログラムが中継された。また、アフリカのテックエコシステムにおける投資関連の情報収集や、起業家や投資家らで形成されるWiredコミュニティメンバーと交流ができる専用アプリ、AfricArena Wiredが今回新たに導入された。
実会場では、テックエコシステムに関するパネルのほか、企業や団体がスポンサーしたいくつかのテーマに関して、アフリカ各国から選抜されたスタートアップによるピッチも行われた。
生活インフラ構築から始まる、次のライフスタイル
「新しいライフスタイルの構築と、途上にある経済開発の課題解決をどう両立させるか」
AfricArena日目に登壇したティム・ハリス(Tim Harris)は、ケープタウンや他のアフリカ新興都市におけるスタートアップの役割やエコシステムを考える上で、この問いを考慮しなくてはならないと述べた。ハリスは西ケープ州投資貿易振興局(Wesgro)のCEOで、国会議員経験もある人物である。