「セーフハーバー期限」迎えた米大統領選、トランプの次の手は?

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米大統領選は12月8日、各州で選挙人による投票が行われる14日を前に、各州が選挙結果を確定させる「セーフハーバー期限」を迎えた。だが、この期限を過ぎたことも、民主党のジョー・バイデン前副大統領の勝利という選挙結果を覆そうとするドナルド・トランプ大統領と共和党の法廷闘争を、終わらせることにはならないもようだ。

「セーフハーバー(安全策)」の期限を定める法律は、1876年の大統領選挙の後、南部のいくつかの州が複数の選挙人団を連邦議会に送ったことを受け、可決されたものだ。

この連邦法の下では、各州は選挙人投票が行われる6日前までに選挙結果を確定し、選挙人の任命を巡る争いを解決することされている。また、連邦議会は選挙人投票の開票を行う際、各州が確定したその結果を“最終的なもの”として扱い、異議を申立てないこととされている。

ウィスコンシン州では選挙結果を巡ってトランプ陣営が起こした裁判の審理が10日に行われることから、期限までに結果を確定させることができなかった。ただ、連邦裁判所の判事たちは、最終的な結果の認定がこの期限を大幅に超えることに否定的であり、裁判の継続が同州の選挙結果に影響を及ぼすことはないとみられている。

就任日まで闘う?


選挙人団による投票の開票が行われる来年1月まで、トランプ陣営と共和党は訴訟を続けるとみられている。

陣営は7日、ミシガン州最高裁に提出した訴状のなかで、「この選挙はまだ終わっておらず、選挙人団が(投票のために)集まるのは12月14日だ」と主張。さらに、陣営の弁護士、ルディ・ジュリアーニとジェナ・エリスは8日、発表文のなかで、セーフハーバー期限を過ぎても法廷闘争を続けることを明確にしている。

どちらも新型コロナウイルスに感染したと伝えられている両弁護士はこれまでにも、選挙結果が確定している必要がある日として合衆国憲法に定められているのは唯一、「大統が領就する1月20日」だけだと指摘。年を越しても法廷闘争を続けている可能性があることを示唆していた。

そのほか、テキサス州のケン・パクストン司法長官(共和党)は連邦最高裁に対し、選挙人による投票の延期を求めている。だが、法律の専門家らは、同司法長官の訴えが認められる可能性は非常に低いとの見方だ。

選挙人投票の後も、議会が来年1月6日に開票を行い、結果を確定するまで、連邦議会議員が各州の結果に異議を唱える可能性はある。だが、そうした主張が通る見込みも、あるとは言えそうにない。

大統領選の投票日以降、トランプは結果を覆すための戦略として、主に訴訟を乱発してきた。ただし、民主党の弁護士マーク・エリアスによると、トランプと共和党が起こした訴訟のうち、すでに49件は終了。1件に勝訴した以外、敗訴または取り下げという結果になっている。

トランプと弁護団は訴訟のほかにも、各州の州議会議員や当局者らに対し、有権者の意志を否定し、独自に選挙人を任命することで選挙結果を覆すよう直接働きかけている。だが、このもう一つの戦略もまた、失敗に終わっている。複数の州の議員たちが、「選挙結果に反する行動は起こさない」と明言している。

編集=木内涼子

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