ワインとともに2020年を振り返る 記憶に残るシャンパーニュ5選

ワインが生まれるその場所で、そのワインを味見することは、格別の体験


Leclerc Briant Rubis de Noirs


2012年から、シャンパーニュの偉大な醸造家エルヴェ・ジェスタン氏を迎えて、再スタートを切ったLeclerc Briant(ルクレール・ブリアン)からは、「Rubis de Noirs」というロゼ・シャンパーニュを紹介したい。

色調は赤ワインに近いほど深いルビー色。ピノ・ノワールの果皮を漬け込むことによって、色と風味を出している。口に含むと、フレッシュなラズベリーや野いちごの果実が広がり、酸味と若干の心地よい苦味がある余韻へとつながる。しっかりした骨格があり、鴨肉などのメイン・ディッシュとも合う、本格的なロゼ・シャンパーニュだ。

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Coessons Blanc de Noirs 


シャンパーニュ地方の南部にあるコート・デ・バール地区を拠点とするCoesson(コエッソン)は、5世代にわたりブドウ栽培を続けている。単独所有畑の「Largillier(ラルジリエ)」を、地質の特徴ごとに細分化し、小区画で醸造をおこない、一つの畑から様々な側面を表現したシャンパーニュを造る、意欲的な造り手だ。

この「Blanc de Noirs」は、「果実」と「花」と名付けられた小区画からのピノ・ノワール100%で造られたシャンパーニュだ。区画名のとおり、白いお花、赤リンゴや洋梨の果実が印象的で、厚みのあるボディと緊張感があり、均整が取れている。

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La Closerie Fac-Simile


ランスの街から程近い、Gueux(グー)村を拠点とする、La Closerie(ラ・クロズリー)は、当主ジェローム・プレヴォーが、自身の「Les Béguines(レ・ベギーヌ)」畑のムニエから、唯一無二のシャンパーニュを造る。温かみのある小さな造り手だが、その名は世界のワイン関係者に知れ渡っている。

この「Fac-Similé」は、ロゼのバージョンで、野いちごやラズベリーのピュアな果実と繊細な泡が口の中を優しく包み込み、心地よさの中にも、強さと深みが感じられるシャンパーニュだ。

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今年始めに、雪の降る軽井沢の邸宅で

過去にも、シャンパーニュは数々の苦難を乗り越えており、華やかなイメージとは裏腹に、人々にはレジリエントの精神が根付いている。2020年のワインが手元に届くまでには少なくとも数年の時が必要だが、そのときにまた、笑顔で乾杯できることを願ってやまない。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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文・写真=島悠里

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