レッドブル主催の大学生を対象に世界を変えるアイデアの実現と次世代イノベーター育成を目指すプログラム「Red Bull Basement(レッドブル・ベースメント)」で、日本代表に選出された学生チーム。彼らは「音力発電」のアイデアで世界に挑む。
12月11日から13日にかけてオンライン上で開かれる「グローバルワークショップ」に出場し、37カ国の代表の学生と社会を変革する技術のアイデアで競う。
代表に選ばれたのは、東京大学工学部の須田隆太朗(22)と慶應義塾大学文学部の袴谷優介(22)率いる4人のチーム。「ハチドリのひとしずく」の寓話からインスピレーションを受け、「hummingbird」と名付けたアイデアをどう実現するか。また、きわめて小規模な発電が、社会に対してどのような価値を提供できるか。
この1カ月間、2組の社会人メンターが伴走し、彼らはアイデアをブラッシュアップしてきた。Forbes JAPAN編集部は、その開発期間に密着した。
「hummingbird」は、風力や火力などと並ぶ新しい電力資源として「音」を活用することを提案する。日常に溢れる音から音波を収集し、電力に変換するシステムを開発すれば、環境に優しい電力資源として使用することができる。彼らの熱意と発想力が高く評価され、日本代表に選出された。
正反対の2人が組む 滑り出しは好調だったが
11月3日、メンターたちとの初顔合わせとなった須田と袴谷。「名刺交換の仕方もわからない」と、社会人に囲まれて、やや緊張した面持ちで2人は自己紹介をした。
須田は2019年に半年間、イスラエルのスタートアップでアナリストとしてインターン経験を積み、さまざまなビジネスコンテストに応募をして技術開発のアイデアを実現するチャンスを探ってきた。「イスラエルにいる時、いつもの暮らしが当たり前ではないことを実感し、気づいたところはどんどん変えていきたい。自分自身で作れるものが欲しいと思い、応募しました。ワクワクしています」と挨拶した。
一方、袴谷は遠慮がちにこう語った。「僕には彼のようなバックグラウンドはないけれど、エンジニアという仕事に惹かれてパリ発のエンジニア養成機関『42 Tokyo』に通いました。インプットだけでなく、ちょうど何かを作る経験をしたいと思っているところでした。活躍ができるか未知数ですが、よろしくお願いします」
2人は見た目も性格も「正反対」と自認しているが、互いを認め合う。須田は袴谷を「面白い存在。短時間で集中して取り組むことができる」と、袴谷は須田を「真面目で丁寧。僕の足りないところを持っている」と評する。
チームには、今年の秋に大学を卒業したばかりの青山奈津美(24)と東京大学大学院1年の木村拓仁(24)も参加している。4人は同じ国際学生寮で一つ屋根の下に住む。寝ても覚めても、授業以外の時間は相談しあうことができる環境にいるのだ。