書類では、ファーウェイが中国のAI(人工知能)企業「Megvii」のために、同社の動画クラウドインフラを使用して「ウイグル人のアラートシステム」をテストしたことが示されていた。
IPVMによると2018年のファーウェイの報告書には、Megviiのソフトウェアがテストに「合格」し、顔の属性分析の一環として「民族」を特定できたと記されていた。
この文書は、ファーウェイのウェブサイト上で、「機密」の刻印を押された上で公開されていたが、12月9日にワシントン・ポストがこの件を報道した直後に削除された。
人権団体によると、中国当局は大規模な監視ネットワークを使ってウイグル人やカザフ人、その他のイスラム系少数民族らを追跡し、イスラム文化を封じ込めるための「再教育施設」に拘束しているという。中国側は、この施設は自発的なものであり、過激主義と戦うために存在すると主張している。
ファーウェイは、フォーブスからのコメント要請にまだ応じていないが、IPVMに対し次のように回答した。「これは単なるテストであり、実用化はしていない。当社は、このようなテスト向けに汎用製品のみを提供しており、特定の用途に絞ったアルゴリズムやアプリケーションは提供していない」
Megviiは、こう述べている。「当社のソリューションは、特定の民族をターゲットにしたり、ラベリングしたりするために設計されたり、カスタマイズされたりしない。当社のビジネスは個人の幸福と安全にフォーカスしたもので、特定の集団の監視を行うものではない」
米国政府はすでに昨年、Megviiをブラックリストに登録しており、同社と他の複数の中国のハイテク企業が、中国政府によるウイグル人の監視活動を支援していると述べていた。ファーウェイについては、連邦通信委員会(FCC)が6月に同社が「国家の安全保障上の脅威である」と宣言し、ファーウェイの通信機器が中国政府による米国人の監視活動に使用される可能性があると主張していた。
これらの措置は、米国のインターネットや通信インフラから中国のハイテク企業を排除し、世界の超大国として影響力をふるうようになった中国に対抗しようというトランプ政権の目標の一環だ。英国も同様の懸念から、7月にファーウェイの通信機器を5Gネットワークから追放していた。