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イノベーションの舞台裏


ブランドやプロダクトに信頼、目的を求めるようになっている


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北原:石川さんは現在、ニューヨークと東京を拠点にして企業のブランディングや広告キャンペーン、ブランドコンテンツの制作を手掛けられています。

昨今、日本でもD2Cブランドが盛り上がっていますが、アメリカは日本が盛り上がる以前からD2Cブランドが数多く立ち上がり、一大トレンドになっています。アメリカと日本で、違いを感じる部分はありますか?

石川:最近のニューヨークのスタートアップには、インハウスに元代理店出身の優秀なクリエイティブディレクターがいることが多く、社内にクリエイティブの力を理解した人がいます。簡単に言うと、センスが良くて話が早い。

しかも、様々な文化的背景を抱えていた個人がチームになっていくので、感覚でやっているように見えて、裏側では細かく明文化されている。とてもロジカルでコンセプチュアルなんです。

Shopifyの日本ローンチキャンペーンを行ったときも、スタッフ全員が個人的な趣味嗜好で話をせず、「それは、Shopifyらしいのか?」という、理想のブランド像をみんなで共有し、そこを起点に会話が行われていました。そうゆう土壌の違いは感じます。田邊さんは制作チームを信じて任せてくれていたので、そこは本当に感謝しています。

あとは、当たり前のことですが文化的背景が大きく異なります。例えば、日本は医療制度が整っているので、治癒医学の文化ですが、アメリカは“予防医学”です。

歯を治療する道具が普通にドラッグストアに売られている。制度が整ってないからこそ、セルフケアをする人が多く、ウェルネス文脈のブランドが数多くあります。なので、トレンドではなくそこに本当にニーズがあり、ムーブメントが生まれてきます。

北原:そうした文化の違いから、アメリカではヘルスケアやウェルネスの分野でもD2Cが盛り上がっていることを聞くと「なるほど」と思います。

石川:彼らは社会に対して信頼感を抱きずらいからこそ、自分たちが使うプロダクトやブランドに信頼を求めます。どのような思想を持ったブランドなのか、社会にどう貢献をしているのか。ブランドパーパスと、それに対するアクションがあたりまえのように必要とされています。

北原:価格が安いから買う、コストパフォーマンスが良いから買うといった理由だけではなく、ブランドが何を伝えようとしているか、そこに対するこだわりや共感で商品を購入するのしょうか?

石川:はい。結局は安さが重視されるかと思っていたのですが、僕自身も、意外とそうではないんですよね。思想の背景を知って、素敵だなあと思い買ったりします。

そういったブランドの思想は、公式サイトなどではなく、メディアの記事で知って好きになることもあります。言うべきことを、どこで言うのかという、伝え方の文脈の設計も大事なんですね。

北原:アメリカではすでにD2Cブランドは当たり前のものになっていると思いますが、新型コロナの影響で、日本でもD2Cブランドへの意識が加速すると思っています。

街へ買い物に行きづらくなったこともありますが、消費の形が変化していくのではないかと考えているからです。

今まで消費は「費やして消す」という文字の通り、商品を比較してコスパやレビューが良い方を手に入れ“消費する”行為でしたが、これまで簡単に手に入っていた物に対しても、ありがたみの意識が高まったように感じます。

その結果、世の中は「感謝・共感・応援」という感情が伴う購買体験を求めるようになると思っています。作り手の想いや商品のこだわりなどを知り、共感や応援の気持ちが大きいものを買う、といった購買行動が今以上に盛んになっていくのではないかと思っているんです。

だからこそ、Makuakeはクラウドファンディングサイトから新たに「アタラシイものや体験の応援購入サービス」というタグラインを打ち出し、テレビCMも開始しました。

その背景には、Makuakeは一般的なクラウドファンディングサイトのように資金がない人が夢を応援してもらうために寄付を募るものではなく、購買体験自体を再定義し、産業支援をするという思想が強くありました。

ただ買い物をするのではなく感情の伴った買い物が当たり前になっていくのではないか。そんな時代背景や創業者との対話を元に、タグラインの刷新を社内で進めていきました。

石川:クラウドファンディングと言うか、応援購入サービスと言うか。言葉が違うだけで、動き方が違ってきますよね。だからこそ、そのブランドはどんな思想を持っていて、何をするのか、その定義はすごく大事だと思います。

文=Makuake

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