キャリア・教育

2020.12.10 20:00

「フォース」を使う技法


では、どうすれば、この「フォースを使う」ということができるのか。自分の中に眠る直観力を信じ、それを使うことができるのか。
 
ここでは、筆者が意思決定のプロフェッショナルとして、永年の体験の中で掴んだ、ささやかな技法を述べておこう。
 
それには、まず、次のことを、心の中で念じることである。

「この意思決定をするのは、自分ではない。『大いなる何か』が、自分という人間を通じて、世のため人のため、良きことを為そうとしている。されば、この『大いなる何か』の叡智に、すべてを委ねよう」
 
心の中で、そう念じ、そして、ただ一言「導きたまえ」と祈るのである。
 
このささやかな技法を実践するだけで、それまで心を占めていた迷いと雑音が消えていく。そして、そのとき、不思議なほど、直観が降りてくる。
 
逆に、心の中に「自分が決めなければ」「自分にとって、どちらが良いか」というエゴの声があるかぎり、直観は降りてこない。なぜなら、直観は、透明な心、静かな心に降りてくるからである。
 
昔から、なぜ、経営者やリーダーに志や使命感が求められるのか。
 
それは、志や使命感を深く抱くとき、自然に心が透明になり、静まっていくからであり、そのとき「大いなる何か」の声が聞こえてくるからである。
 
直観力とは、その声を聞く力に他ならない。


田坂広志◎東京大学卒業。工学博士。米国バテル記念研究所研究員、日本総合研究所取締役を経て、現在、多摩大学大学院名誉教授。世界経済フォーラム(ダボス会議)Global Agenda Council元メンバー。全国6200名の経営者やリーダーが集う田坂塾・塾長。著書は『運気を磨く』『直観を磨く』『知性を磨く』など90冊余。

文=田坂広志

この記事は 「Forbes JAPAN No.076 2020年12月号(2020/10/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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田坂広志の「深き思索、静かな気づき」

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