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2020.12.09

世界中の事例を教科書に。メジャーで「ベストプラクティス」を目指す

freee 佐々木大輔 代表取締役CEO


──いつからグローバルIPOを決めていたのか。

最初の投資家がシリコンバレーのベンチャー投資家だったこともあり、未上場時から多くの海外投資家からも資金調達してきた。彼らとコミュニケーションを取り続ける延長線上で、IPOも自然とグローバルで行うという選択をした。

世界のベストプラクティスをはじめ、海外で起きているあらゆる事例から学ぶということは、前職のグーグル時代の経験も大きい。例えば、私はアジア、日本の中小企業を対象にしていたが、社内にいる世界中の担当者、例えば東欧や南米の担当者とも、他の市場の動きを意見交換しながら事業を進めた。それが、圧倒的に早く、効果的に、成果につながることが多かった。日本市場は海外市場と違うと考えるのではなく、世界の市場で起きていることや施策の事例を学びながら、いかに最適なアプローチができるか。そして、学ぶだけにとどまらず、自分たちが世界のベストプラクティスになる、つくるという姿勢も重要だと考えている。

──今後もその姿勢は変わらない。

日本の会計ソフトのクラウド化率は、まだ約15%だ。会計ソフトを使用している企業も約半分といわれている。これを伸びない市場ととらえるのか、伸びしろがあると考えるか。アメリカの半数以上の企業がクラウドサービスを使用していることを考えると、我々は前向きにまだ成長余地は十分にあると考えている。

我々が目指すのは、中小企業をはじめ、企業経営を支えるインフラになること。中小企業がテクノロジーを活用して労働生産性を高める。そして、その一方で、新しいテクノロジーや価値観をもつ企業が数多く生まれてくる社会だ。ソフトウェアを提供するクラウド企業として、社会を変える大きな役割を果たしていけると信じている。


ささき・だいすけ◎1980年、東京都生まれ。一橋大学商学部卒。博報堂などを経て、2008年、グーグルに入社。日本、アジア・パシフィック地域の中小企業向けマーケティング統括を担当した。12年にfreeeを創業。19年、東証マザーズに上場。

文=間杉俊彦 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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