ミシュランガイド東京、「14年連続三つ星」シェフが今考えること

「カンテサンス」のオーナーシェフ、岸田周三氏

12月7日、14年目を迎えたミシュランガイド東京2021のセレクションが「MICHELIN Guide Asia」のYouTubeチャンネルで動画配信発表された。通常では受賞シェフなど関係者を招いての授賞式が行われるが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、今年はオンライン上での発表となった。

今年のガイドブック掲載施設は合計480店、うち飲食店・レストランは446軒、宿泊施設は34軒。星付き店は合計226軒(三つ星12軒、二つ星42軒、一つ星158軒)、さらにビブグルマンが234軒という結果となった。



コロナ禍の最中での審査について、ミシュランガイド事業部の本城征二氏は会見で、「東京は通年で審査を行なっており、若干の日程調整が必要だったものの、予定していた全ての店舗を審査できた」と述べた。

中華料理で初の三ツ星店


星付き店、ビブグルマン共に減少したが、明るい話題としては、三つ星に中国料理「茶禅華」、フランス料理「レフェルヴェソンス」の2店が昇格したこと。

特に、茶禅華は日本のミシュランガイドにおいて初の中国料理の三つ星となり、「日本料理の経験を活かし、だしや炭火焼など和の技法も使う“和・漢”の文化を見事に融合させた料理」と評された。



茶禅華の川田智也料理長は「自分の表現したい料理を一文字で表すと『淡』。水をベースにした日本料理と、火をベースにした中国料理、一見相反するものの融合を目指しています」と語る。

時に繊細に、時に豪快に、味の振り幅の大きい料理のコース構成もさることながら、料理のタイプによって、硬度の違う何種類ものミネラルウォーターを使い分けるなど、一皿一皿へのマニアックとも言えるほど作り込み、同じ料理でもより良い調理法を常に追求し、進化していくのが魅力だ。

料理が一番おいしい瞬間にゲストに届くよう心を砕くが、それはチームワークの賜物でもある。「開店以来大切にして来たのは、今日いらっしゃるお客様の為に、皆が心を一つにして、全身全霊でおもてなしをさせて頂く事。これからもこの目標を大切に精進し続けたいと思います」と感謝の思いを述べた。

レフェルヴェソンスは、「厨房にレンガの薪窯を作りガス利用を削減し、絶滅が危惧される魚を使わないなど、サステナブルな取り組みにも積極的な点が評価につながった」ということで、次に述べる「グリーンスター」も同時受賞となった。

今年はガイド創刊120年の記念すべき年だが、「時代とともに進化するガイド」として、今の時代を反映し、レストランのサステナブルな取り組みを評価するグリーンスターが東京エリアに初登場し、「読者がレストランを選ぶ際の判断基準の一つになる」と位置付けている。「フードロスの削減、森林活性化に寄与、環境に配慮する生産者の支援、絶滅危惧種の保護などの取り組みを行うレストラン」が評価の対象になる。
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文=仲山今日子

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