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2020.12.09

私が日本のスタートアップ投資の魅力を海外に伝えるときに話すこと


米国や中国ではどこもかしこも競争が激化しています。例えば、ここに1人の起業家がいて、大きな事業を成し遂げるために完璧なチームと実行プランを用意したとします。しかし、周りを見渡せば、自分たちと同じことをやろうとしているスタートアップが他にも20社あって、しかも相手はGoogleやTencentの元社員。逆に投資家の立場からすれば、20社のライバルVCを相手にそれらの有望なスタートアップへの出資枠を争わなければなりません。まさに弱肉強食の容赦ない環境です。

それと比べると、日本の競争環境はまだ非常に穏やかと言えます。



東京を制したスタートアップが、日本を制する


以前にも記事で書きましたが、東京はスタートアップを立ち上げるのに絶好の都市です。

なぜなら、日本の経済のほとんどが首都圏に集中しているからです。例えるなら、日本のハリウッドやワシントンDC、ニューヨーク、シリコンバレーが全て東京に集約されているようなものです。ほとんどの大企業が東京に拠点を構えていて、電車ですぐにアクセスできるため、極めて効率的に営業活動を行えます。

また、首都圏には現在3800万人ほどの人が住んでいますが、似たようなライフスタイルを持ち、同じようなコンテンツを好み、抱えている問題にもやはり多くの共通点があります。つまり、プロダクトを考案・マーケティングしやすく、非常に攻略しやすい顧客層なのです。

このような一極集中型の構造が、実際のところ是正するべき問題なのか、それともただの国民性によるものなのかは意見が分かれる点ですが、少なくともリソースが限られているスタートアップにとっては大きなアドバンテージになります。東京を集中的に攻略するだけで、日本のマーケットをほぼ手中に収めることができるのですから。



国内で機関投資家を呼び込むことが、日本のスタートアップ業界にとって長年の大きな目標の1つでした。しかし、今後は海外投資家にもアピールし、呼び込むことが業界の次なる発展の鍵となると考えています。

そのアピールポイントとして、「Why Japan?」と聞かれた場合の私なりの答えを今回紹介させていただきましたが、日本のスタートアップ界には私が知らないだけで、まだたくさんのアピールポイントがあると思います。海外投資家へ日本市場の魅力を伝えるために説得力のあるセールスポイントとなるアイデアやデータ、調査結果などをご存知の方がいましたら、参考にさせていただきたいので、ぜひメールもしくはTwitterでご連絡ください。皆様のご協力をお待ちしております!

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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