国際ジャーナリストのアメリカ深層メモ "Eye-opener"

ジョージア州の集会にて不正選挙を再び主張しているトランプ氏(Getty Images)

11月3日の大統領選で、開票作業の始まった夜、ドナルド・トランプ大統領が記者会見を開き、選挙は「余裕で勝っていた」「ひどい不正だ」とぶちあげたのは記憶に新しい。

あれから1カ月以上が経ったが、いまもブレずにその主張を続けている。ただ、不正を訴えていた州では軒並み訴訟に失敗し、これまで激戦州で50人ほどの判事に次々と「不正の証拠がない」と完全否定されている。

それでもまだ不正選挙を訴え続けているトランプ。12月6日には、上院の議席の行方を握る決選投票が1月に行われるジョージア州で集会を行って、不正選挙を再び主張している。

そんな動きの裏で、トランプ支持者の間で、保守系テレビやSNSをめぐって地殻変動が起きているのはあまり報じられていない。

実はいま、例えばトランプの「不正選挙」路線を信じるような保守派たちの間で、これまで支持が高かった保守系のニュース専門局の米FOXニュース離れが起きている。特に、陰謀論が大好物なゴリゴリのトランプ支持者の間では顕著になっている。

その最大の理由は、FOXニュースが大統領選後すぐに激戦州のアリゾナ州でジョー・バイデン候補を当確にしたことだ(しかもCNNよりも先にである)。これを受け、トランプはいままで信頼していたFOXニュースを批判。するとトランプ支持者の間で「FOXは終わった」という空気が広がった。

もっとも、FOXニュースはそもそも朝から晩までトランプ支持の番組を放送し続けていたわけではない。夕方5時から放送されている「The Five」では、5人の論客が出演し、民主党支持者もその中に混じって議論を行う番組だ。ニュース番組でも、リベラル派の女性コメンテーターを出演させている番組もあった。もちろん逆に、思いっきり保守に振り切れた番組もあるが。

ただ熱心なトランプ支持者らは、アリゾナの件などがやはり許せなかったようで、トランプ支持の集会などでは他のメディアの取材に「FOXは終わった」という発言が多く聞かれた。中立な報道などいらないということだろう。

文=山田敏弘

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