スペースXの衛星インターネットが、僻地の遠隔医療を改革する

Joe Burbank/Orlando Sentinel/Tribune News Service via Getty Images

イーロン・マスクが比較的最近に成功させた事業と言えば、先端航空宇宙技術を手がけるスペースXだ。同社は、「人類を、多惑星で生きる種にすること」をミッションに掲げている。

スペースXはこれまでに、宇宙飛行士を国際宇宙ステーションへと無事に送り届けたり、ロケットの再利用技術で見事に進歩を遂げてコスト低減を実現したりと、驚くほど先駆的な業績を達成してきた。

スペースXはほかにも興味深い事業を手がけている。それがスターリンクだ。

スターリンクのミッションは、地球の低軌道を周回する衛星のグローバルネットワークを活かして、最終的には「アクセスが不安定か高額、あるいはまったくつながらないような場所で、高速ブロードバンドインターネットを利用できるようにする」ことだ。

最先端の衛星システムを活かして、高速ブロードバンドインターネットを提供することが狙いだ。おまけに、スターリンクのシステムは従来の衛星システムとは異なり、宇宙ゴミを増やすことはない。稼働を終えたら軌道から離脱し、大気圏に突入・燃焼して消滅するように設計されているからだ。

いまのところは、「2020年に米北部とカナダでインターネットサービス提供を開始、2021年には地球全体の人口集中地域にサービスエリアを急拡大させたい」考えだ。

多くの人にとって高速ブロードバンドインターネットは、ネットワーク接続に驚くほどの違いが出ることを意味する。しかし、この技術が秘める最大の利点のひとつは、サービスが行き届かない地域での医療および医療アクセスへの影響かもしれない。

ずっと以前からよく知られているように、米国農村部などの地方では、医療サービスが十分に行き届いていない。そうした状況に拍車をかけているのが、悪化する一方の医者不足と、医療従事者の燃え尽き症候群(バーンアウト)が増え続けていることだ。
次ページ > 遠隔医療の進歩で解決へ

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

ForbesBrandVoice

人気記事