75万人の女性たちが参加するRMEは、グーグルやサンタンデール銀行を含む大手企業の支援を受けて起業家に事業計画の立案の仕方を教え、メンタリングなどを行っている。
RMEはパンデミックの発生以降に4000万レアル(約7.8億円)以上の資金を調達し、今後24カ月間で5万人以上の女性にトレーニングを行おうとしている。さらに、グーグルの支援を受けて3カ月ごとに女性が主導する180のビジネスを選び、シード資金とメンタリングを与えていく。
フォントは2021年に累計調達額を1億レアル(約20億円)まで伸ばし、ブラジル全土の200万人の女性起業家を支援することを目標に掲げている。「私たちは、イノベーションを通じて社会にインパクトを与える企業を支援したいと考えている」と彼女は話した。
フォントは、世界のG20諸国が女性のエンパワーメントの問題に取り組むことに焦点を当てた、国連のプラットフォームである「W20」の一員だ。彼女は、この国の多様性を促進する上で重要な役割を担っているが、ブラジル政府との対話は決して容易ではないと述べた。
「私たちがジェンダーの問題や、より多くの女性を経済に取り込むためのアファーマティブ政策の重要性を語っても、現在のブラジル政府は聞く耳を持たない」とフォントは指摘した。
「しかし、将来のためのイノベーション戦略を考える上で、その設計に女性を入れないことは不可能だ」と彼女は話し、今後も政府に対する働きかけを続けていく意思を示した。ブラジルでは起業家の教育環境が欠如しており、大企業と起業家が協力し、ビジネスを生み出すためのプラットフォームが足りないことも課題だという。
しかし、フォントは企業らが今後、環境や社会のベストプラクティスを重視するようになると考えている。「私たちはもはや、政府だけに頼ることはできない。イノベーションやインクルージョン、多様性を促進するためには、新たな枠組みが必要だ」
ブラジルには、ダイバーシティを基盤とした起業家の育成環境の再構築が求められていると彼女は話した。
「今から1年後、より多くのブラジルの女性起業家たちが、企業のサポートを受けられていることを期待したい。ただ待っているだけで、事を起こすことは出来ない。今必要とされるのは、行動を伴う楽観主義だ」とフォントは話した。