テクノロジー

2020.12.19 09:00

世界の電動航空革命 ゼロエミッション飛行機で「空の脱炭素化」を

航空業界の脱炭素化が求められている(Photo by Unsplash)

航空業界の脱炭素化が求められている(Photo by Unsplash)

電動航空機の開発が、世界各国で進んでいます。世界経済フォーラムのアジェンダから最新の現状をご紹介します。


・ニュージーランドに、同国初となる電動航空機が納入されました。
・北米では、さらに大型の商用電動航空機が試験飛行中。
・何百台もの、電動エアタクシーの開発も進められています。
・ハイブリッド旅客機は、その試験プログラムをすでに完了しています。
・しかし、大手飛行機メーカーは、完全な電動旅客機の運用までにはまだ数十年かかるとみています。

ニュージーランドは、初の電動航空機が納入されたことで、航空におけるカーボンフリーの未来を模索する国々の仲間入りをしました。

スロベニア製の2人乗りのこの飛行機は、飛行訓練、そしてゼロエミッション飛行の体験を希望する人たちを乗せた、遊覧飛行に使用される予定です。このような飛行機は、ニュージーランドにとっては初ですが、世界全体では多く見られるようになってきています。

2019年12月、シアトルを拠点とする電動航空エンジンメーカーのマグニックスは、カナダのコミューター航空会社、ハーバー・エアが所有する水上飛行機の従来のエンジンを電気エンジンに交換して改造、飛行させたことで、世界初の商用電動航空機による飛行に成功したと発表しました。



試験飛行はわずか4分間でしたが、マグニックスは、同量の予備電力を確保することで30分間の飛行が可能だとしています。そして、2020年6月、同社はこれまでで最大の商用電動航空機となるバッテリー駆動の9人乗りセスナ・グランドキャラバンを飛行させ、さらなる成功を収めました。

カーボンニュートラルな飛行の需要


新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、飛行機の搭乗者数は3分の1に激減し、世界中の航空会社は大きな打撃を受けました。しかし、この危機以前に、すでに航空業界は航空機がもたらす環境への影響について、一部の乗客たちから厳しい目を向けられていました。

2009年には、航空業界は、その年以降のカーボンニュートラルな成長目標を設定し、世界の炭素排出量の約2〜3%を占める排出量を2050年までに半減するとしました。直近の調査によると、46%の人々が、カーボンニュートラルなフライトにはより多くの金額を支払っても良いと回答しており、乗客も、炭素排出量を削減するためのアクションを求めていることが分かりました。

では、電動航空機はその一助となるのでしょうか? バッテリーは重要な課題のひとつです。軽量化されてきたとはいえ、まだ重量の課題は解決せず、長距離飛行の実用的なエネルギー源とはいえません。
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文=Douglas Broom, Senior Writer, Formative Content

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