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2020.12.07 16:00

ブラジルのデジタル銀行「C6」がユニコーン化、大手Nubank追撃へ

rafapress / Shutterstock.com

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ブラジルのデジタル銀行「C6バンク」は12月2日、新たな資金調達により企業価値が約21億ドル(約2180億円)に達したとアナウンスした。C6は、ブラジルの最新のユニコーン企業となった。

C6バンクの持株会社が主導した今回の調達には、40人以上の個人投資家が参加し、調達額は約2億5000万ドルに達した。財務を担当したクレディ・スイスのブラジル部門のホセ・オリンピオ・ペレイラ社長は、「投資家から大きな関心が寄せられた」と述べた。

C6バンクのマルセロ・カリムCEOは、「今回の増資により、当社は成長を加速させていく。顧客基盤を強化し、投資プラットフォームの開発を完了させ、新規事業の開発に向けての投資を継続する」と述べた。

サンパウロに本社を置くC6バンクによると、同社は400万件以上の口座を開設している。これはブラジルで3000万人以上の顧客を持つNubank(ヌーバンク)と比べれば少ない数字だが、マッキンゼーがまとめた調査報告書のBrazil Digital Reportで、C6バンクは「ブラジルで最も速いペースで成長したデジタル銀行」とされている。

マッキンゼーは、ブラジルで2014年から2019年までに設立された6社のチャレンジャーバンクの動向を追跡しており、2019年8月に始動したC6バンクは、同年末までに100万人の顧客を獲得したという。

一方で、この分野の大手であるNubankは2013年にブラジルでの事業を開始しており、同社が市場環境を整備したことが、C6バンクを含む新興企業の設立を促したという。

C6バンクは、ブラジル国内外で利用可能な複数のサービスを展開中で、年会費無料のクレジットカードや様々な投資商品を用意している。C6は今年3月、ブラジルの大手携帯電話事業者のTIMと、金融サービスの共同提供のためのパートナーシップを締結した。

同社はケイマン諸島にも拠点を構えており、サンパウロとニューヨークでは機関投資家を対象とした株式ブローカー事業を展開中だ。さらに、C6の持株会社の傘下には決済テクノロジー企業のPayGoや、保険アドバイザリー会社のSom.us、決済アプリ開発会社のSetis、教育テクノロジー企業のIDEA9などがある。

編集=上田裕資

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