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Luis Alvarez / by Getty Images

私たちは誰しも、良質な運動と同等の効果を持つ魔法の薬を医師から処方してもらえたら、と願っていると言ってよいだろう。しかし残念なことに、科学がそれに追いついていないときもある。

運動は心身の健康に欠かせないものだ。体を動かすことでうつ病や不安、2型糖尿病、心臓病、脳卒中や多くのがんのリスクが減り、早死にが予防できることが研究から示されている。

米国では、1日に少なくとも30分の運動を行う人は5%にも満たず、1週間の推奨運動量を達成する人はわずか3人に1人だ。これは他の欧米諸国も同様で、英国ではあまり運動しないと答えた人が約4分の1だった。

体を動かす成人の少なさは、米国での死亡件数において10%近くの原因となっている。また、運動不足が原因で毎年死亡する人の数は世界で200万人を超えている。

しかし、座って過ごしがちな生活習慣を変えることはそれ自体難しいことだ。研究からは、私たちは元々運動を嫌う傾向にあり、体を定期的に動かすモチベーションを維持することは困難なことが示されている。

今回の新たな調査の魅力もここにある。

スウェーデン・ヨーテボリ大学の研究者らは444人の患者を対象として、身体活動、つまり運動を処方した。

治療は、患者との個別相談、書面の処方箋を伴う専用の運動メニュー、体系化されたフォローアップの3つの部分から構成された。

その結果、半年後には73%の人の間で運動量が増え、42%は十分な身体活動水準を達成していた。

ただ研究者らは、処方された運動にどれほど真剣に取り組んだかは運動量を変えることに対して本人が持つ自信の強さに左右されることを発見した。

運動量を増やすことができた人の間では、体重やウエストのサイズ、血圧、血糖値、脂質(血中脂質量)が改善していた。また、生活の質も向上していた。

こうした効果は当然、元々の運動量が最も低かった患者のグループで最も顕著に現れた。

半年後、処方箋治療を終えた後も適切な運動水準を満たしていなかった患者は190人いた。こうした患者はさらに2年間追加で運動処方の治療を受け、2つの異なる手法のうち1つを無作為で割り当てられた。

研究の主執筆者、ステファン・ルンドクビストによると、半年と2年の治療はどちらも患者の身体的活動の水準や代謝の健康、生活の質を同等の費用対効果で改善した。

また健康へのプラス効果は、医薬品の変化とは無関係なようだった。

ルンドクビストは「私たちの視点では、継続的な支援、個別化、長期的な治療が患者の身体的活動を増やし維持するための重要要素だ」と述べた。

このことを踏まえると、より多くの医師が運動処方を活用すべきときかもしれない。そうすれば、大きな変化がもたらされるかもしれないからだ。ノースウェスタン大学のドナルド・ロイドジョーンズ予防医学部長は健康情報サイト「エレメンタル(Elemental)」に対し、「私たちの社会の健康に劇的な影響がもたらされるだろう」と述べている。

翻訳・編集=出田静

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