EIUは、家賃・住宅ローンの相場や食費、光熱費、被服費、教育費など、毎日の生活で購入が必要となる138商品に対する価格400件を比較し、世界133カ国をランク付けした。
昨年は香港、大阪、シンガポールが同率1位だったが、今年は大阪とシンガポールはそれぞれ4位と5位になった。変動の理由は、新型コロナウイルス感染症による為替変動だ。報告書は「調査を実施した2020年9月時点では、米州の通貨が最も弱く、西欧の通貨が最も強かった」と述べている。
パリは、不動産の賃料や価格が高いことで有名だ。ニュースサイト「ザ・ローカル」によると、1平方メートル当たりの平均価格は1万500ユーロ(約130万円)を超えている。ただ同サイトは、EIU調査方法の一部を疑問視。調査ではパリでのパン1キロの値段を5.13ユーロ(約650円)としているものの、平均的なパン店での値段は実際には2.72ユーロ(約340円)だと指摘している。フランスでのバゲットの値段の全国平均は1ユーロ(約130円)ほどだ。
2020年の生活費が高い都市トップ10は次の通り。(かっこ内は昨年からの順位変動幅)
1位タイ チューリヒ(+4)
1位タイ パリ(+4)
1位タイ 香港(0)
4位 シンガポール(-3)
5位タイ テルアビブ(+2)
5位タイ 大阪(-4)
7位タイ ジュネーブ(+3)
7位タイ ニューヨーク(-3)
9位 コペンハーゲン(+2)
10位 ロサンゼルス(-1)
EIUは、新型コロナウイルス感染症の影響が世界各地の物価をどう変えたかを調査。対象とした10のカテゴリーのうち、「たばこと娯楽(家電製品を含む)の価格が昨年から大きく上昇したが、服の価格は急降下した」と指摘している。
生活の変化も影響を与えている。自宅で時間を過ごす人が増えたことに伴い、消費者が必須と考える商品も変化。こうした必需品の価格はあまり影響を受けなかったが、必需品以外ではそうはいかず、例えば衣料品の価格は新型ウイルスの流行を受けた需要低下により低下した。
EIUは、ペットボトル入りの水の需要が減ったことは「意外ではない」と説明。一方で、中間層では外食の代わりに食材とレシピをセットにした「ミールキット」を購入する家庭が増えたことが分かったと報告している。