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2020.12.07

HPEのシリコンバレー離脱、テック業界に意味するもの

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クラウドはまた、ロジスティクス面の大きな変化にも貢献している。テック企業はこれまで、東アジアで製造されたハードウエアに依存していたが、クラウドコンピューティングによりその依存度が下がり、東アジアに近い米西海岸に本社を置く必要性も減った。

また、労働市場の変化も企業がシリコンバレー以外に目を向ける要因となった。ボストンの生物医学やニューヨークのフィンテックなどの地元産業の発達により、シリコンバレーの人材に依存しないような専門職人材プールを持つ複雑なスタートアップのエコシステムが形成されている。

おそらく最も重要な点として、カリフォルニア州外での税金と生活費の安さにより、競争が激しいテック分野の労働市場で雇用主側に一定の余裕が生まれたことがある。HPEのアントニオ・ネリCEOは米金融専門誌バロンズの取材に対し、テキサス州への移転を決めた要因の一つが低税率だったということを否定しているが、それでも移転により財務的なメリットが生じる可能性は高い。

テック系業界団体コンプティア(CompTIA)のトッド・シボドー最高経営責任者(CEO)は「生活費が低いエリアに移れば(賃金面での負担が)緩和され、初任給で20%の違いが出ることもあるだろう」と指摘。「もしあなたがHPEの従業員で、カリフォルニア州の税制からテキサス州の税制へと移ることができるのであれば、そうすることを即決するはずだ」と述べている。

編集=遠藤宗生

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