新型コロナワクチン世界初承認。来年夏には「日常が戻る」? 

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英国が12月2日、ファイザー/バイオエヌテック製新型コロナワクチンの使用を世界初承認した。

4万人の治験者の半数にワクチン、残り半数にはプラセボ(疑似薬)を投与したテストの結果の承認という。BBCによれば、このコロナウィルスワクチンの世界初承認機関となった英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)責任者レイン長官は、「われわれが準じたプロセスは国際的なもので、絶対的に信頼のおけるものである」と述べている。英国は今後、個人病院や薬局などを含めた国内数千カ所でワクチンを入手可能にする予定だ。 

「子供の接種は当初は控えるべき」


ウイルス病に対してこれまでに開発されてきたワクチンは、対象の病原性ウイルスを構成する数種類のタンパク質のうち、毒性をもつタンパク質を攻撃する抗体(それ自身がタンパク質)に関連するものが一般的だったが、ファイザーとバイオエヌテック社製の対COP19ワクチンは「mRNAワクチン」と呼ばれ、ウイルス構成タンパク質の設計図、つまり遺伝情報に相当するmRNA(メッセンジャーRNA)からなるものである。
 
なお、同じく開発中だったアストラゼネカおよびオックスフォード大学が開発したワクチンについては、数千人の治験者のうち1名の死亡理由が「ワクチン由来であるかどうか不明」との理由で延期されている。

ちなみに米国の疾病対策センター(CDC)は、これまで世界219カ国と合衆国全州で行われた35万9682件のテストの治験者が「妊婦以外の成人のみ」であることを理由に、少なくとも接種開始時は子供への接種は控えるべきであると発表した。

米国は2021年末までに「4000万人分確保」の予定


ニューヨークタイムズ誌がポッドキャスト配信する番組「The Daily」(11月30日配信分)によると、米国でも12月中旬にはファイザーとバイオエヌテック製ワクチンの国民への接種を始めるとのことだ。ワクチンはアメリカ国民には、少なくとも初期段階では無償で提供される。

医療従事者、長期滞在型ナーシングホームの高齢者、エッセンシャルワーカー、ハウスケアワーカーらに優先的に接種する。接種は3週間置いて2回が必須である。

「The Daily」によれば、ファイザー製ワクチンはマイナス70度という低音での保存が必要だ。そのため、GPSと温度センサーがついた極めて特殊な専用箱で移送される。病院、薬局などはこの専用箱で受理後、特殊冷凍庫でワクチンを保管できれば6カ月保存が可能で、移送された箱に入れたまま、ドライアイスの交換を怠らなければ15日保存が可能だ。冷蔵庫保管の場合は5日以内に使用しなければならない。

現在、保管用の専用冷凍庫を装備する病院などが増えている。
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文=石井節子

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