急逝した稀代の起業家、ザッポス創業者46歳の「早すぎた伝説」

ザッポス元CEOのトニー・シェイ(Photo by FilmMagic/Getty Images)


「偶然の出会い」の大切さ


シェイは、2010年にベストセラーとなった著書「Delivering Happiness」(ザッポス伝説)」を出版した。その後、彼は新たな事業「Downtown Project」を立ち上げ、ラスベガスの活性化のために3億5000万ドルを投じた。

彼はアルパカを愛し、ネバダ州の砂漠で毎年開催される「バーニングマン」に触発されて、トレーラーパークで暮らしていた。

Gold Houseの共同創業者であるMaggie Hsuは、2013年から2015年までDowntown Projectでチーフ・オブ・スタッフを務め、2017年までザッポスでテクニカル・アドバイザーを務めた経歴を持つ。Hsuはこう話した。

トニーは、人やアイデアを思いがけない方法で結びつけることがとても好きだった。彼は、人々を新たな方法で組み合わせることによって予想外の結果を生み出す、“設計されたセレンディピティ(偶然の幸運)”という概念を実践していた。

彼は、ある会議の後に、全く関連性のない別の会議を招集し、わざと時間が少し重複するように設定していた。例えば、15時開始の会議のメンバーは、14時の会議が終了する少し前に集まる形になる。すると、前の会議のメンバーの多くが居残って次の会議に参加するケースが増える。こうして、18時にもなると、ザッポスのオフィスがあるラスベガスのダウンタウンを、大勢の社員が歩きながら考えを共有するシーンがよく見られた。

シェイの死後、数多くの起業家たちがソーシャルメディア上で彼の死を惜しんだ。ワードプレスの創設者でAutomatticのCEOであるMatt Mullenwegや、GigaOmの創業者でTrue VenturesのパートナーであるOm Malik、元グーグルの弁護士で、ベンチャーキャピタリストのクリス・サッカらも、シェイの功績を讃えている。

最後に、ザッポス時代のシェイをよく知るBanisterの言葉を引用しておこう。

「彼はようなインパクトを社会にもたらした人は少ない。新型コロナウイルスが収束したら、彼の功績を讃えて大きなパレードを行い、喜びや愛を求める人たちに届けたい。彼もそれを望んでいることだろう」

編集=上田裕資

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