消費者物価指数が発表されるたび、私はツイッターで、その月のトピックを簡単に紹介している。そのたびに、学生たちからはメッセージを受け取るのだが、今回は、それに対する回答というかたちで書いてみたい。
先月20日に総務省が発表した10月分の消費者物価指数は、総合指数が前年同月比-0.4%となった。価格変動の激しい生鮮食品を除いた総合指数は同-0.7%、同じく価格変動の激しいエネルギー価格も除いた総合指数は同-0.2%となった。
3つの指数が全て前年同月比でマイナスとなるのは、2013年4月以来のことだ。特に「生鮮食品を除く総合」のマイナス幅は、東日本大震災があった2011年3月以来のマイナス幅となっている。
出典:総務省「消費者物価指数」のデータを基にマネネが作成。
継続的に物価が下落していくことを「デフレ(デフレーションの略)」と言うが、日本経済は、長年苦しめられてきたデフレに再突入した可能性が高い。
先に言ったとおり、「3つの指数が全て前年同月比でマイナスの伸びとなったのは2013年4月以来」ではある。しかし、消費者物価指数は消費増税などの価格変動を含めて算出されるものであり、同じく総務省が発表している消費増税や幼児教育の無償化などの影響を調整した「消費税調整済指数」を見てみると、3つの指数は今年の8月からマイナスが続いているのだ。
つまり、すでに3カ月連続で3つの指数がともにマイナスになっていることになる。それゆえに、すでにデフレに再突入した可能性が高いと指摘しているのだ。
「安くなってラッキー」は間違い
学生たちにこの説明をしたところ、モノの値段が下がるということは、モノが安く買えるということだから、消費者にとってはラッキーなのではという意見が返ってきた。しかし、その考えは間違っている。
たしかに、消費者の観点からすれば、モノが安く買えるのはいいことかもしれないが、私たちは仕事をして給料をもらうことで、それをもとに買い物をしている。つまり、私たちは消費者でもあり、従業員という企業の一員でもある。この2つの観点から見れば、その学生の発想が間違っていることに気づくだろう。
話をわかりやすくするために極端な例を出すが、仮に今後もモノの値段が下がると予想するのならば、多くの人はすぐに買う必要があるモノ以外は、値段が下がるのを待ってから買うようになるだろう。