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前田 裕二 SHOWROOM 代表取締役社長(右)と田村 淳 ロンドンブーツ1号2号(左)

「The MACALLAN」 × Forbes JAPAN
The MACALLAN CONVERSATIONS ~挑戦者たちの大逆転劇~


挑戦者はたとえ困難に直面しても、心の炎を消すことなく大逆転のチャンスを虎視淡々と狙い続けるものだ。そうした大逆転劇を経て今日に至るCEOの想いを、田村淳が聞く。いったいそこには、どのようなドラマが隠されているのだろうか。

「The MACALLAN」の芳醇な香りが漂う空間で、今回田村淳が迎え入れたゲストは、ITエンターテイメントの世界で躍進するSHOWROOMの前田裕二である。


強烈な原動力の基になった、「マイナス絶対値」のプラス転換

田村 淳(以下、田村):逆境から這い上がってきた叩き上げのイメージを、前田さんに感じることはあまりないのですが……。相当な負けず嫌いなのですよね?

前田裕二(以下、前田):あるタイミングをきっかけにして、そうなったのかもしれません。元々は、親が早くいなくなったり、裕福でなかった自分の環境も手伝い、「負けず嫌い」というエネルギーは体から湧いてきませんでした。しかし、それがガラリと変わるきっかけがありました。小学5年生のときです。同級生の多くは塾通いを始め、その中のひとりの女子がある日、目の前で、中学校で習う「素数」の概念を披露したのです。

その得意げな顔を見て、僕の中に初めて、“負けたくない”という気持ちが芽生えたこと、そしてそのときの映像をいまでも鮮明に覚えています。その子に負けたくないというより、絶対に塾に行けない自らの経済的境遇や、身に降りかかる大きな試練の連続、つまり、「運命」そのものに勝ってやると、ふつふつと腹の底から熱が湧いてくるのがわかりました。

自分は学校での勉強を一生懸命やれる限り頑張ってみたけど、それでは手に届かないレベルの知識や知恵があるという事実に、とてもショックを受けたんだと思います。

田村:そうした瞬間に、白旗を上げてしまう人もいますよね。前田さんはその気持ちを前向きな原動力に変えたのですか?

前田:すぐに前向きに変えたというより、まずは負のエネルギーをため込んだ、という方が正しいかもしれません。よく講演などでも言うのですが、マイナスの絶対値は、大きいほどいい。なぜなら、ひっくり返してプラスになったときの値も同様に、大きくなるから。1,000のマイナスは、きっと1,000のプラスにつながるのです。

田村:普通はそんなに客観視できない。悪い境遇のせいにしてそのまま生きていく人が大半でしょう?

前田:10歳離れた仲の良い兄がいつも隣にいてくれて、彼自身の行動や無償の愛情で、僕のもっているマイナスをプラスに転換してくれました。「逆境をバネにして、強く生きてほしい」ということを、僕への強烈な愛情表現でもって、教えてくれていたのです。それが僕の荒れていきそうになる気持ちを癒してくれました。そんな大切な兄に喜んでもらいたい、自慢の弟になりたい、という気持ちが、僕の逆転志向に火をつけたのかもしれません。

田村:環境は少し違うけれど、私もそうでしたね。勉強などより、早く社会に出て働きたかった。自分の力を試したかったな。

前田:淳さんもそうだったのですね。


「The MACALLAN」は、こだわりのものづくりを約190年もの間続けてきた。戦時中に多くの社員が入隊して人員を欠いた状況下でも、職人たちは品質を守り抜く挑戦を続けたのだ。未来も、永遠にそうなのだろう。前田は「The MACALLAN」を嗜むということは、そうした「想い」を味わうこと、物語を呑むことでもあるという。

大学受験までの一年、希望大学に入っての一年がいまの自分をつくった

前田
:高校2年生が終わろうとしていたころ、遅まきながら決断したのは、予備校のポスターのいちばん上に載っていた一流の大学・学部に入るということです。それが、分かりやすいひとつの、兄を喜ばせる方法だと思ったから。もう一心不乱に受験勉強に取り組みました。

田村:自分も受験を経験して、偏差値はそう簡単に上がらないとわかっているので、その努力が大変だったことは予想がつきます。合格したら、一気に楽になったのではないですか?

前田:いや、むしろ真逆で。早稲田に入ったら凄い事に気づくんです。つまり、「早稲田に入ったら、全員早稲田生だった」(笑)。当然ですが、優秀な人や努力する人ばかりです。そこで抜きん出るために何をしたらよいか?これを必死で考えました。「井の中の蛙」とはこのことかと愕然として、必死に自己研鑽しました。それに加えて授業料も自分で払っていたこともあり、例えば授業もほとんどいちばん前の席に陣取って、余すことなく知識を吸収しようとしていました。

田村:その気持ちは、よくわかります。自分で学費を払うと無駄にしたくない。限界まで知識を受け取りたいと思う。

前田:まさしく。受験前・入学後の一年は、僕にとって大きな転換ポイントだったと思います。そこで夢中になって学んだからこそ、意識や能力の高い人々のなかで少しずつ存在感を発揮することができ、できることが増える過程で夢は肥大化し、そののちに、社会にもっと大きなインパクトを果たしたい、と、起業をするに至ったのだと思います。

田村:恵まれない環境からの大逆転劇、そこから前田さんの快進撃は始まったのですね。


大逆転を経験したからこそ、大きな壁にワクワクと立ち向かう自分がいる

田村:起業してからは、苦労はなかったのですか?

前田:もちろんあります。起業して以降、面白いくらいに、次から次へと壁が立ちはだかる、その連続です。しかも登場する度に壁は厚く、高くなってやってくる。しかし僕は、というより起業家はほとんどそうなのかなと推察しますが、難題であればあるほど不安よりもワクワクを感じてしまいます。

田村:ゲーム攻略のような気持ちですか?

前田:近いかもしれません。昔といまで決定的に違うのは、いまの自分は一人ではなく、仲間を呼んでくることができるということです。例えば、自分よりその壁に詳しい人に、どのハンマーを選べば壁をクラックできるか、アドバイスを受けることもできる。

田村:チーム戦になるということですね。

前田:起業してからは、大きな壁が立ちはだかったとしても、力を合わせれば壊せるのだという経験を数多く味わいました。チームで「くそーこの壁かてえ……」と笑いながら、大きな壁を壊していくのです。

田村:でもチーム全員が、笑いながらとはいかないのではないですか?

前田:確かに、簡単なことではありません。でも、リーダー次第なのかな、と思います。辛いときほどリーダーが笑う。すごく大事な心持ちだと思っています。立ちはだかる壁の大きさ・分厚さにチームのメンバーが怯えていたとしたら、リーダーは、その不安をワクワクに変える必要があります。


「希望」の計算式は、「視座」×「視点」

前田:僕が思うリーダーの役割の一つに、「視座と視点」の提供があります。視座は、この壁を乗り越えた先にどんなワクワクする未来があるのかを、指し示すこと、視点は、リーダーが壁攻略のためのソリューションを提示することです。

例えば、自分たちがバンドをやっていて、渋谷の300人収容のライブハウスを埋めたいのなら、一段上のZeppではなく、日本武道館を埋めることからまず考える、という2段階上の視座を示します。そして、この視点で切り崩せるよ、と「視点」も示すのです。俯瞰し、理想像から逆算することで、立ちはだかる壁のほころびは見つけやすくなり、チームに希望とモチベーションが生まれるのです。

田村:同じ壁が、マインドによって小さく感じられるようになるということですね。それなら乗り越えられると、みんなワクワクしますね。




「The MACALLAN」の190年の歴史の重み。理念が寿命を超え、グラスに満ちる

田村:いま嗜んでいる「The MACALLAN」も、苦境の時代においてものづくりの精神をあきらめなかったからこそ、私たちがこうしていまもおいしく味わうことができるのですよね。

前田:まさに。非常に美しい色をしていますね。僕は何よりも190年こだわり続けていること自体に、強い敬意を感じます。理念が創業者の寿命を越えて続いているという事実。僕も、SHOWROOM社が提供する仕掛けが、自分がいなくなっても続いてくれたらと思っているので、The MACALLANのような 、理念の力で時代を超えて愛され続ける商品やサービスに、強く憧れます。

お酒を飲むという行為なのですが、同時に特別な「意味」を飲むような感覚になる。きっとThe MACALLANの創業者と、それを受け継いできた人たちの視座は非常に高かったのではないでしょうか。遠い未来を見通せるほどに。

田村:高い視座から見て、努力を続けることが重要なのですね。

前田:「頑張る人がフェアに報われる社会をもたらす」ために、地球上に存在するあらゆる機会格差を打ち壊すことを志して設立したのがSHOWROOMです。その理念がもし190年続くのならとてもうれしい。グラスを傾けるほど、「The MACALLAN」への憧れが溢れてくるような気がします。


「The MACALLAN」のウイスキーとなる、小さな蒸溜釜で丁寧に抽出されるニューメイクスピリッツは、最高のシングルモルトをつくるため、さらに選別されるという。その量は全体のわずか16%。手間暇をかけて、最高のウイスキーを届けることへの挑戦は、これからも続いていく。




「The MACALLAN」 18YEARS OLD
(ANNUAL 2020 RELEASE)

Ne Plus Ultra 銀座
東京都中央区銀座7丁目2-11 横須賀第五ビル B1F



まえだ・ゆうじ◎1987年生まれ。13年5月にDeNAに入社、同年11月に仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げる。15年に同事業をスピンオフし、SHOWROOM設立し、代表取締役に就任した。著書にベストセラー「メモの魔力」、「人生の勝算」がある。

「The MACALLAN CONVERSATIONS ~挑戦者たちの大逆転劇~」特設サイト
https://forbesjapan.com/feat/macallan/
田村淳がCEOの大逆転劇とその原動力に迫る「The MACALLAN CONVERSATIONS ~挑戦者たちの大逆転劇~」。各回は以下の通り。

株式会社マクアケ 代表取締役社長 中山 亮太郎
SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田 裕二(本記事)

Promoted by Suntory Spirits / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Masahiro Miki / edit by Akio Takashiro

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