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ポストDXの世界


確かにブロックチェーンの当初の思想は分散化であり、もちろん現在もその目的を踏襲して開発されているプロジェクトも多数ある。例えばイーサリアムは、「スマートコントラクト」という自動執行技術を実装可能にしたことで、お金を管理する仕組みだったブロックチェーンをお金以外のさまざまなアプリケーションをも分散し管理できるように拡張した。

「中央集権的」ブロックチェーンも


ただブロックチェーンが現在に至るまでの歴史の中で、その可能性はさまざまに、そしてもしかしたら当初の思想と相反することにまで拡大している。

ブロックチェーン自体が持つ、「外部からの攻撃に強く、改竄されず、追跡ができ、トラストレスな仕組みを構築できる」という、ビジネスに活用し得るメリットも見い出されたのだ。それは、当初のブロックチェーンの思想であっただろう「管理の分散性」を犠牲にしても得がたいメリットだ。

そこに目をつけた国や多くの企業は、ある意味で(彼ら目線で)ブロックチェーン技術の「いいとこ取り」をした仕組みをたくさん生み出している。例えば中国が現在開発中の中央銀行デジタル通貨「デジタル人民元」は、まさに中央集権的なブロックチェーンの活用事例だ。

前者の、中央管理者がいない(もしくはいてもシステムを管理できない)ブロックチェーンを正確には「パブリック・ブロックチェーン」と呼び、後者の、特定の管理者がデータベースを管理するブロックチェーンを「プライベート・ブロックチェーン」、そして複数の管理主体がコンソーシアムを組んで管理するブロックチェーンのことを「コンソーシアム・ブロックチェーン」と呼ぶ。パブリックは非中央集権的な仕組みを実現でき、プライベートやコンソーシアムは中央集権的な仕組み作りを助けるわけだ。

「DX」を目指す多くの企業は、果たしてどちらのブロックチェーンを活用して、ビジネスを変革し、優位性の確立を目指しているのだろうか?

「分散性を一部取り入れた中央集権」も


「DX」が国や企業が優位性を取るための変革であれば、目指す先は多くの場合、後者の、中央集権的な仕組みの要素としてのブロックチェーンの活用だろう。

ただし、それで本当に優位性が確立できるのだろうか? その答えはまだ誰にもわからないが、中央集権的にブロックチェーンを活用することで最も強くなるのは、すでに強者であるGAFAかもしれない。

すでにFacebookは複数の世界的な企業とコンソーシアムを組んで、ブロックチェーンを活用した暗号資産(仮想通貨)である「Diem(2020年12月にLibraから名称変更)」の発行の準備を着々と進めている。

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Getty Images

一方、非中央集権的な、分散化を目指した「DX」の事例も今世界中でたくさん生まれてきている。そして中央集権か、分散か、どちらかシロクロつけるわけではなく、「分散性を一部取り入れた中央集権的な仕組み」を目指す企業やプロジェクトも生まれてきている。

文=設楽悠介 編集=石井節子

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